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中国のコンテナ型無人コンビニが失敗に終わった理由とは?

コラム
記事掲載日:2020年12月03日
最終更新日:2020年12月21日

店内で店員がほとんどおらず、レジでの会計もセルフで行う無人コンビニ。

レジに並ばずに買い物できますし、コロナ禍で人との対峙を極力避けたい場合にもありがたいシステムです。

しかし実験店舗の運用は繰り返されているものの、本格稼働に至った店舗は多くありません。

そこでこの記事では、無人コンビニの失敗事例や失敗した理由、そして最新の事例について解説します。

目次

無人コンビニの先駆けだった中国のコンテナ型店舗とは?

無人コンビニの先駆けだった中国のコンテナ型店舗とは?

無人コンビニとして一般に認知されたのはAmazonの「Amazon Go」がきっかけではないでしょうか。

しかし2016年8月、実はAmazon Goよりも先に中国では無人コンビニの実店舗がオープンしていました。

それがコンテナ型無人コンビニ。「Bingo Box」という名前のコンビニで一躍話題になりました。

筆者もニュースを見て「無人コンビニって本当に実現できるんだ」と驚いた記憶があります。

この無人コンビニのパイオニアとも言える、コンテナ型店舗のシステムは以下の通りです。

<コンテナ型店舗の利用方法>
  1. スマホアプリでQRコードを読み込み入店する
  2. 商品を選ぶ
  3. 会計棚に商品を置くと金額が出る
  4. 支払いボタンを押して決済が完了すると出口が開く
  5. 退店する

コンテナ型無人コンビニは一躍ブームになり、投資も集まり店舗数を拡大。「Well GO」「無人超市」などの無人コンビニも誕生しました。

しかし、これらのコンテナ型無人コンビニは2018年頃から衰退と閉店が進み、大規模なリストラまで行われる事態となりました。

なぜコンテナ型無人コンビニは廃れてしまったのでしょうか。

コンテナ型無人コンビニが不人気だった3つの理由

<コンテナ型無人コンビニが不人気だった3つの理由>
  1. 商品の価格が高かったから
  2. 専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから
  3. 会計が正確ではなかったから

コンテナ型無人コンビニが不人気だった理由は諸説ありますが、主に上記の3つだと考えています。

①商品の価格が高かったから

まず一つ目に「コンテナ型無人コンビニは商品の価格が高かった」という理由が挙げられます。

当時の無人コンビニではRFIDというタグを用いて商品の種類や在庫を管理するのが一般的でした。

このRFIDタグを商品1つ1つに用意するコストがかかるため、どうしても商品価格を上げる必要があります。

RFIDタグは1つあたり約5円ですし、劇的に高額となるわけではありません。しかし数多くコンビニがある中で、あえて割高な店舗を選ぶこともないのではないでしょうか。

②専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから

二つ目の理由に「専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから」という点が考えられます。

ふらっとコンビニに行くだけなのに、

  • 専用アプリのダウンロードと会員登録をしている必要がある
  • 入店時にアプリを起動してQRコードをかざす

というのは、少々ストレスを感じるのではないでしょうか。

そこまで時間のかかる作業ではないものの、他のコンビニと比べるとどうしても億劫に感じてしまいます。

③会計が正確ではなかったから

三つ目に「会計が正確ではなかったから」という理由が考えられます。

当時は先述した「RFIDタグ」で商品を管理していましたが、このRFIDの精度が良くなく、会計が正確でないことも珍しくありませんでした。

そのため、顧客は合計金額が間違っていないか確認する手間が生じます。それなら「安心して店員さんに任せたい」と考える人も多いでしょう。

また、そもそも「金額が間違っているかも」という不安な気持ちが、顧客を遠ざけたとも考えられます。

日本国内外における無人コンビニの最新事例3選

<日本国内外における無人コンビニの最新事例3選>
  1. 中国の「便利蜂」
  2. 高輪ゲートウェイ駅の「Touch To Go」
  3. 「Amazon Go」

無人コンビニの先駆けになったものの、現在は衰退してしまったコンテナ型店舗について紹介しました。

次に本項では、現在の無人コンビニはどのような形態なのか、日本国内外における事例を紹介します。

①レジは無人化し最少人数で営業する中国の「便利蜂」

便利蜂

便利蜂は中国の半無人コンビニ。店舗にスタッフはいるものの、レジは無人化されています。

専用アプリのカメラを起動し、商品をスキャンして会計できるので「レジに並ぶ」ということがありません。

また、便利蜂は購入者のビッグデータを活用しているというのも特徴です。

商品の発注や陳列などもデータに基づいて判断されるため店員が思考する必要がなく、業務の効率化に成功しています。

コンテナ型無人コンビニのユーザー側のデメリットを排除した成功事例と言えるでしょう。

②多数のカメラが見張る高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」

TOUCH TO GO

TOUCH TO GOは、東京・JR山手線の新駅、高輪ゲートウェイ駅構内にできた無人コンビニです。

2017年からの大宮駅や赤羽駅での実証実験を経て、2020年3月にオープンしました。

TOUCH TO GOの利用方法は、

  1. 入口に立つとゲートが開く
  2. 手持ちのバッグに商品を入れる
  3. セルフレジの前に立つと金額が表示される
  4. 交通系ICカードorクレジットカードで支払う
  5. 退店する

と、非常にシンプルなものです。専用アプリや会員登録も必要ありません。

「入る・取る・出る」という非常にシンプルな工程を実現しているのが、店内に設置された多数のカメラとセンサーです。

「認証システム」といわれるAIが、客が取った商品を判別して、

  • 何を買ったか
  • 何を買わなかったか
  • 何を取ったあと棚に戻したか
  • 何も買わずに店を出た人がどれだけいるか

というデータまで取得できます。

そのため、商品を手持ちのバッグに入れてしまっても問題ないのです。

バックヤードには店員が1人はいますが、同規模の店舗では3人必要な人員が1人ですむ、というのが運営側のメリットです。

これぞ究極!?レジのないコンビニ「Amazon Go」

Amazon Go

さらにアメリカでは、Amazonがレジなしコンビニ「Amazon Go」を展開しています。

2020年6月現在、シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークの4都市に26店舗を展開中です。

Amazon Goの利用方法は、

  1. Amazon Goのスマホアプリをダウンロードしておく
  2. アプリのバーコードをかざし入店
  3. 商品をバッグに入れる
  4. 退店する

これだけです。

退店の数分後、アプリに請求が届き、登録しているクレジットカードで決済されます。

Amazon GoもTOUCH TO GOと同じく、多数のカメラとセンサーで客が取った商品を判別します。

ただTOUCH TO GOと違うのは「レジで会計する必要がない」点です。

専用アプリや会員登録の必要はありますが、日頃使っているAmazonのアカウントの利用ならそこまで手間に感じないでしょう。

何より「商品を取ってそのまま退店」ができるところに、ユーザー側の大きなメリットがあります。

店舗型無人コンビニの今後の課題は?

店舗型無人コンビニの今後の課題は?

日本でも無人コンビニの実証実験が繰り返されるようになった背景には、利便性向上の他に、労働人口の減少への対応があります。

これから日本でも広まるであろう無人コンビニの今後の課題は何があるのでしょうか。

万引き対策や決済方法をどうするか

無人コンビニを展開するにあたり、万引き対策は大きな問題です。2019年8月、ローソンは深夜帯に無人コンビニの実証実験を開始しました。

会員登録済みのQRコードで入店、もしくは顔写真を撮影して入店するシステムで万引きを抑制しようとしました。

しかしこの店舗では、上記のプロセスを経由せずとも、他の顧客が扉を開いたときなら入店・退店できてしまう弱点がありました。

このような穴をつき、万引きを考える顧客はいるかもしれません。

一方、TOUCH TO GOやAmazon Goのような多数のカメラとセンサーが設置されている店舗なら、万引きは技術的にほぼ発生しません。

未会計の商品を持って退店することはできないため、万引きの発生率は通常のコンビニよりも下がると期待されています。

最新の無人コンビニでは、むしろ万引きのリスクは低いと考えられるでしょう。

完全な無人化は難しい

「無人コンビニ」という名前ではあるものの、完全にスタッフ0人の店舗の実現は難しいのが現状です。

日本のメジャーな既存コンビニは、大変多機能です。店員0人営業を考えたとき、既存コンビニにある次のようなサービスが提供できない可能性があります。

<完全無人での販売が難しい商品例>
  • おでんなどタグを付けられない商品
  • たばこ、お酒など年齢制限のある商品
  • 公共料金の支払など収納代行
  • ホットスナックなど調理が必要な商品
  • 宅配便の発送や受取

実際、Amazon Goでは店舗にスタッフが常駐しているのが現状です。

TOUCH TO GOでは、お酒も購入できす。ただし、レジで「20歳以上ですか」という質問に「はい」と答えるとバックヤードの店員が年齢を確認します。

また、商品の発注や陳列や機械にトラブルがあったときなども、どうしても人の手が必要です。

このようなことから現状「完全な無人化」は難しく、できるだけ最少人数で営業する「省人化」が現実的になります。

まとめ:労働人口の減少とコロナ禍での接触回避にも無人コンビニは貢献する

労働人口の減少とコロナ禍での接触回避にも無人コンビニは貢献する

労働人口が減少して「働き方改革」が施行されましたが、2020年からは「コロナ禍での買い物をどうするか」という課題も加わりました。

無人コンビニは、レジでの決済業務がなくなる分、少ない人員で営業できます。

収束するには長い時間がかかると言われる中、人との接触を極力減らせる無人コンビニのニーズはこれから高まっていくでしょう。

  • 多機能な既存コンビニにどこまで近づけるか
  • スマホやキャッシュレス決済を使わない層の受け入れをどうするか
  • 顧客の利便性は本当に向上するのか

このような課題はありますが、無人コンビニが日本に増えていく日も近いかもしれません。

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