日本にも無人コンビニの時代が到来?3つの国内事例をもとに解説
最終更新日:2021年11月29日

日本国内でも浸透の兆しが見える無人コンビニ。大手コンビニ「ファミリーマート」では、約1,000店舗の無人コンビニを2024年度末までに拡大する方針を明らかにしています。
無人コンビニの導入を考えている企業にとっては、新たなビジネスチャンスとなるでしょう。
しかし、無人コンビニを先駆けて導入した中国では、波に乗らず失速した事例もあります。
本記事では無人コンビニの事例や、無人コンビニのメリット・デメリットなどをまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
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無人コンビニの仕組み
まず、無人コンビニの基本的な仕組みをご紹介します。
無人コンビニとは、レジの店員が不在でも買い物できるコンビニです。
無人コンビニは
- ウォークスルー型
- セルフレジ型
の大きく2タイプがあります。
ウォークスルー型はアメリカの「Amazon Go」などのように、商品をレジに通さなくてもそのまま買い物できる仕組みです。
店舗内にはセンサーやカメラが多数設置され、顧客が手に取った商品が感知されるようになっています。
Amazon GOの場合は、Amazonアカウントに登録したクレジットカードで自動的に決済されます。
セルフレジ型は、店員がいない無人レジを使い顧客が自分で会計するシステムです。
ウォークスルー型と比べるとレジを通る手間はありますが、店舗側にとってはレジ係を配置しなくて良いため人件費の削減ができます。
日本国内の無人コンビニ事例3選
- 多数のカメラが見張る高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」
- 50m圏内の移動でお買い物が完了する「600」
- 郵便局内にも出店し話題の「ファミリーマート」
ここでは日本国内で話題の無人コンビニを3選ご紹介します。日本国内の無人コンビニはどのような形態なのかご覧ください。
事例1.多数のカメラが見張る高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」
TOUCH TO GOは、東京・JR山手線の新駅である高輪ゲートウェイ駅構内にできた無人コンビニです。
2017年からの大宮駅や赤羽駅での実証実験を経て、2020年3月にオープンしました。
TOUCH TO GOは店内に設置された多数のカメラとセンサーにより、「入る・取る・出る」という非常にシンプルな工程を実現しています。専用アプリや会員登録は必要ありません。
「認証システム」といわれるAIが顧客が取った商品を判別し、
- 何を買ったか
- 何を買わなかったか
- 何を取ったあと棚に戻したか
- 何も買わずに店を出た人がどれだけいるか
というデータまで取得できます。
そのため、店舗にあるカゴを使わず、商品を手持ちのバッグに入れてしまっても問題ありません。
バックヤードには店員が1人程いますが、同規模の店舗では3人必要な人員が1人ですむ、というのが運営側のメリットです。
現在TOUCH TO GOでは、消費者と運営者の利便性向上のため
- 店舗スタッフ用アプリ
- 決済エリアのユーザー用レジアプリ
などの改修や機能追加を進めています。
- 入口に立つとゲートが開く
- 手持ちのバッグに商品を入れる
- セルフレジの前に立つと金額が表示される
- クレジットカードなどで決済し、退店する
さらに詳しくTOUCH TO GOについて知りたい場合は、以下の記事で解説しています。こちらもぜひご覧ください。
>>非接触・無人決済のニーズ増に対応|無人決済システム「TOUCH TO GO」
事例2.50m圏内の移動でお買い物が完了する「600」
オフィスやマンション内での設置に適しているのが無人コンビニ「600」です。
「50m商圏」をテーマに掲げ、本物のコンビニよりもさらに近い距離で買い物できるコンセプトとなっています。
従来型の600は中の見える冷蔵ケースとなり、飲み物や軽食の販売をおこなっていました。
新型モデルStore600では常温ケースが登場し、飲食物の他にも生活用品やおもちゃなども販売できるようになりました。
設置する建物の利用者層や特徴に合わせて、商品ラインナップを柔軟に設定できます。
- 専用アプリで扉のQRコードを読み取る
- 扉が開いたら商品を選ぶ
- 商品に記載のQRコードを読み込ると、クレジットカードで自動決済
事例3.郵便局内にも出店し話題の「ファミリーマート」
大手コンビニ「ファミリーマート」では、無人コンビニを東京都内や埼玉県内に出店しています。
ファミリーマートは無人コンビニの拡大方針を明らかにしており、コンビニ業界でも無人コンビニに力を入れている企業です。
ファミリーマートの無人コンビニは、先ほどご紹介した高輪ゲートウェイ駅のTOUCH TO GOと同じ仕組みを採用しています。
店内には多数のカメラやセンサーが設置され、顧客の動きをもとに決済する商品を判別しています。
- 入口に立つとゲートが開く
- 手持ちのバッグに商品を入れる
- セルフレジの前に立つと金額が表示される
- クレジットカードなどで決済し、退店する
また、ファミリーマートの無人販売サービスとしては、
- 郵便局内のファミマコーナー
- 自販機コンビニ
なども注目です。
ファミマコーナーの買い物は窓口での支払いが必要ですが、郵便局にやってきた人が生活用品や飲食物を気軽に購入できる場として活躍が期待されます。
自販機コンビニは、ファミリーマートで販売するサンドイッチやジュースなどを自販機から購入可能です。
自販機コンビニについて詳しくは、以下の記事で解説しているためこちらもぜひご覧ください。
>>自販機コンビニとは?無人コンビニとの違いや8つの導入メリットを紹介
中国のコンテナ型無人コンビニが失敗した3つの理由
ここまで、日本国内の無人コンビニ事例を3つご紹介しました。
実は中国では、アメリカのAmazon GOよりも先にコンテナ型無人コンビニをオープンしていました。
コンテナ型無人コンビニでは、スマホアプリとの連携や商品価格の自動読み取りなど、最先端の技術を駆使した取り組みが見られました。
しかし、結果的には2018年頃から衰退と閉店が進み、現在は失速しています。
中国のコンテナ型無人コンビニが失敗したのは、主に以下の3つが理由とされています。
- 商品の価格が高かったから
- 専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから
- 会計が正確ではなかったから
それぞれ解説します。
理由1.商品の価格が高かったから
まず1つ目に「コンテナ型無人コンビニは商品の価格が高かった」という理由が挙げられます。
当時の無人コンビニでは、RFIDというタグを用いて商品の種類や在庫を管理するのが一般的でした。
このRFIDタグを商品1つ1つに用意するコストがかかるため、どうしても商品価格を上げる必要があります。
RFIDタグは1つあたり約5円だったため、商品が劇的に高額となるわけではありません。
しかし、数多くコンビニがある中で、あえて割高な店舗を選ぶ人は少なかったと考えられるでしょう。
理由2.専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから
2つ目の理由に「専用アプリの用意と入店時の操作が面倒だったから」という点があります。
ふらっとコンビニに立ち寄るときに、
- 専用アプリのダウンロードと会員登録が必要
- 入店時にアプリを起動してQRコードをかざす
というのは、少々ストレスを感じるのではないでしょうか。
そこまで時間のかかる作業ではないものの、他のコンビニと比べるとどうしても億劫に感じてしまいます。
理由3.会計が正確ではなかったから
3つ目に「会計が正確ではなかったから」という理由が考えられます。
当時は先述した「RFIDタグ」で商品を管理していましたが、このRFIDの精度が良くなく、会計が正確でないこともありました。
そのため、顧客は合計金額が間違っていないか確認する手間が生じます。それなら「安心して店員さんに任せたい」と考える人も多いでしょう。
また、そもそも「金額が間違っているかも」という不安な気持ちが、顧客を遠ざけたとも考えられます。
無人コンビニの2つのメリット
- 人件費を削減できる
- 省スペースで導入できる
無人コンビニが広がりを見せているのは、利用者側と店舗側の両方にとってメリットがあるためです。
ここでは、特に店舗側のメリットについてお伝えします。
メリット1.人件費を削減できる
無人コンビニの大きなメリットは、なんといっても人件費を削減できる点です。
通常のコンビニではレジ係は必ず必要です。忙しい店舗であれば、常に3~4人のレジ要員が必要とされることもあります。
しかし、無人コンビニは会計を自動化しているため、レジ専用の人員は必要ありません。
商品の品出しやバックヤードの業務をこなす最低限の店員だけで、コンビニ業務が滞りなく進みます。
単純な人件費だけでなく、アルバイト募集にかかる求人広告費用や、面接などに要する業務コストの削減にも繋がります。
メリット2.省スペースで導入できる
無人コンビニは、省スペースで設置できるのがメリットです。
店舗面積が狭ければ、テナント代などの維持費が少なくて済みます。
通常のコンビニの場合、売り場面積は150平方メートル以下が平均的です。一方、無人コンビニの売り場面積は7~55平方メートルとなり、およそ3分の1以下のスペースでコンビニを設置できます。
省スペースで設置できる利点があるため、駅構内やビル内などのちょっとしたスペースにも出店できます。
無人コンビニの2つのデメリット
- 完全な無人化は難しい
- 万引き対策や決済方法の検討が必要
日本でも無人コンビニの導入や実証実験が繰り返されるようになった背景には、利便性向上の他に、労働人口の減少への対応があります。
これから日本でも広まることが期待される無人コンビニですが、デメリットは何があるのでしょうか。
デメリット1.完全な無人化は難しい
「無人コンビニ」という名前ではあるものの、スタッフ0人の完全な無人化は難しいのが現状です。
日本のメジャーな既存コンビニは、大変多機能です。店員0人営業を考えたとき、既存コンビニにある次のようなサービスが提供できない可能性があります。
- おでんなどタグを付けられない商品
- たばこ、お酒など年齢制限のある商品
- 公共料金の支払など収納代行
- ホットスナックなど調理が必要な商品
- 宅配便の発送や受取
実際、Amazon Goでは店舗にスタッフが常駐しているのが現状です。
TOUCH TO GOではお酒も購入できすが、年齢確認はバックヤードの店員が対応します。
また、商品の発注や陳列、機械にトラブルがあったときなどはどうしても人の手が必要です。
このようなことから、現状「完全な無人化」は難しく、できるだけ最少人数で営業する「省人化」が現実的になります。
デメリット2.万引き対策や決済方法の検討が必要
無人コンビニを展開するにあたり、万引き対策は大きな問題です。
2019年8月、ローソンは深夜帯に無人コンビニの防犯実験をおこないました。
実証実験では会員登録済みのQRコードで入店、もしくは顔写真を撮影して入店するシステムを用いて、万引き対策の効果を検証しています。
しかしこの実証実験では、上記のプロセスを経由せずとも、他の顧客が扉を開いたとき一緒に入店・退店できてしまう弱点が見つかりました。
このような穴をつき、万引きを考える人はいるかもしれません。
一方、TOUCH TO GOやAmazon Goのような多数のカメラとセンサーが設置されている店舗なら、万引き抑制効果があると考えられます。
未会計の商品を持って退店することはできないため、万引きの発生率は通常のコンビニよりも下がると期待されています。
最新の無人コンビニではむしろ万引きのリスクは低いと考えられますが、無人コンビニの形態によっては防犯対策に課題が残ります。
無人コンビニ導入が向いている場所3選
- 郊外や田舎など人口の少ない地域
- 利用者の多い駅前・駅構内
- オフィスやマンションの共用部
省人化・省スペースといった無人コンビニの特徴は、どのような場所で活かせるのでしょうか。ここでは無人コンビニの導入が向いている場所を3つご紹介します。
場所1.郊外や田舎など人口の少ない地域
郊外や田舎地方など、人口の少ない地域は無人コンビニの設置が向いています。
人口の少ない地域は労働人口も少なく、人材確保が難しいのが現状です。
「コンビニの利用者はいるが店員が足りなくて営業が回らない」という場所では、無人コンビニが活躍するでしょう。
また、時間帯によって働ける人が少なくなる場所(サービスエリアなど)に設置するのもおすすめです。
場所2.利用者の多い駅前・駅構内
人口の少ない地域とは反対に、人口の多い地域でも無人コンビニは活躍します。特に、利用者の多い駅前や駅構内では需要があると考えられます。
利用者の多い駅や大きな駅の構内には、通常のコンビニが設置されている場合が多いです。
通勤時間帯などは多くの人で混雑しやすく、レジをいかにスピーディにできるかが重要となります。
無人コンビニなら、店員と顧客間でのコミュニケーションにかかる時間が省け、混雑を緩和できるでしょう。
場所3.オフィスやマンションの共用部
オフィスの一角やマンションの共用部に、無人コンビニを設置するのもおすすめです。
ビル内やマンション内にコンビニがあると、建物から出ずに買い物ができます。
天気の悪い日でも外に出ず買い物できたり、コンビニへ行く時間を短縮できたりするメリットは顧客に喜ばれるでしょう。
また、オフィスやマンションに無人コンビニを設置すれば、会社の福利厚生やマンションの設備としてアピールポイントにもなります。
まとめ:無人コンビニの拡大に期待
無人コンビニは顧客の利便性を向上させるだけでなく、日本の労働人口減少への対応策としても注目したいビジネスです。
国内でも試験的導入から本格的な設置への動きが見られ、今後ますます拡大が期待されるでしょう。
もし
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