センサーとAIカメラで街や人のリアルタイムデータ分析。働き方や店舗運営をサポート|都市型スマートビル「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」
最終更新日:2021年01月29日

「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」は、東急不動産株式会社と鹿島建設株式会社が共同開発し、ソフトバンク株式会社の最先端テクノロジーが搭載されたスマートビルです。
テクノロジーでビルや街、人のデータを収集・分析し、有効活用する「スマートシティ」。この国家戦略特区である竹芝エリアに、2020年9月オープンしました。
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーは、ビルの内外に設置された各種センサーを用いて、リアルタイムデータを収集・分析し、ビル利用者やテナントの利便性向上に活用しています。また、年々深刻化するビルメンテナンスの人手不足を解消するため、ロボットを導入するなど、さまざまな先進的な取り組みが注目されているスマートビルです。
この記事では、東京ポートシティ竹芝オフィスタワーの先進的な取り組みについて、ご紹介します。
ビル内外のデータを分析・提供し、新しい働き方や店舗利用、運営をサポート
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーでは、3DカメラやIoTセンサーなど、ビル内外に設置された1,000台以上のセンサーでデータを取得。「スマートシティプラットフォーム」で、リアルタイムにデータを収集・分析しています。
分析したデータは「ビル館内のデジタルサイネージ」「スマートフォンやタブレット」といったデバイスを通じて、ビルテナントやビルの利用者に提供されています。
「ビルやテナントの利便性の向上」だけでなく、「新しい働き方の提案」まで、データの利用範囲は多種多様です。東京ポートシティ竹芝オフィスタワーの数々の先進的な取り組みの中から、おもなものを見ていきましょう。

顔認証によるセキュリティチェックと、エレベーターの効率的な運行
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーのオフィスエリアへ繋がる保安ゲートでは、顔認証によるセキュリティチェックをおこなっています。
顔認証で保安ゲートを通過できると、社員証や入館証などのIDカードを見せたり、センサーにかざしたりといった動作が不要になるため、
- IDカードが保安ゲートのセンサーに反応せず、後ろが詰まってしまう
- IDカードがカバンの中から見つからず、保安ゲートを通れない
- 第三者が拾得したIDカードで保安ゲートを通ってしまう
などの不満やセキュリティ上の問題が解消されています。
また、顔認証を行うための「顔情報」と「その人の勤務フロアの情報」が紐づけて登録されており、保安ゲートで顔認証すると、目的階行きのエレベーターが自動で到着。そのため、ゲートを通ったあと、一切のボタンに触れることなく勤務フロアに行くことが可能です。
さらに、保安ゲートでは乗るべきエレベーターを表すアルファベットが表示されます。それを参考に、同じフロアに向かう人は同じエレベーターにまとまって乗ることで、途中の階で止まる回数が減り、スムーズに目的のフロアに向かうことが可能です。表示するアルファベットを調整することで、エレベーターの搭乗人数自体もコントロールできます。
エレベーターホールの混雑状況の「見える化」、混雑回避を促進
エレベーターのコントロールだけでなく、エレベーターホールのリアルタイムなデータ管理もおこなっています。
3Dセンサーでエレベーターホールの混雑状況を検知し、館内のデジタルサイネージやオフィスワーカー向けのアプリに情報を配信。エレベーターが空いている時間帯の利用を促します。また、蓄積されたデータを分析し、「おすすめの出勤時間」を配信し、時差出勤を促進します。
テラス・オープンスペースの混雑状況や環境情報を提供
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーは、東急不動産がオフィスビルにおいて緑の力を活用する取り組みとして提唱している「Green Work Style」を取り入れており、緑を感じられるテラスやオープンスペースが充実しています。

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ビルの2階から6階にまたがった「スキップテラス」はとても広く、空いている場所を歩いて探すのは困難です。そこで東京ポートシティ竹芝オフィスタワーでは、来館者がスキップテラスを快適に利用できるよう、
- AIカメラが検知した空き状況
- 屋外環境センサーが検知した温度・湿度
といった情報をリアルタイムで配信しています。
また、オフィスワーカーには
- 屋外での食事・休憩
- 屋外での打ち合わせ・執務
などオープンスペースの快適な利用をサポートすることで、新しい生活様式の実践を促進します。
各階の個室トイレの空き状況を提供
トイレの扉に開閉センサーを設置し、トイレの空き状況を見える化をしています。
そのため、
- 個室が空いていないため並ぶ
- 空いている個室を探すため、他のトイレや他の階に行く
などのストレスを感じることなく、トイレを利用できます。

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ゴミ箱の内容量を把握し、ゴミあふれ・無駄なゴミ回収を防止
館内の約200ヵ所に、蓋に超音波センサーが取り付けられたゴミ箱が設置されています。
たまったゴミの量を検知して、リモートから確認できることで、
- ゴミ箱が満杯でゴミが捨てられない、ゴミがあふれる
- ゴミが入っていないのにゴミ回収に行く
といった事態を避けられます。
天気予報・交通情報などの外部情報もあわせて提供
天気予報や交通情報といった外部情報を、館内のデジタルサイネージやオフィスワーカー向けのアプリに表示。積極的に情報を取得しなくても「外に出ないとわからない」情報が得られるため、
- ビルを出てみたら雨だった
- 駅に着いたら電車が遅延していた、運転を見合わせていた
といった事態を避けられます。

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店舗のリアルタイムな混雑状況を提供
AIカメラが取得した画像を解析し、飲食店テナントの混雑度を可視化。リアルタイム配信することにより、事前に空いている店舗を確認できるため、
- 行ってみたら満席で入れない
- お昼休みが1時間しかないのに、順番待ちをしなければいけない
などのストレスを軽減します。

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来店者数・顧客の属性情報など、店舗運営に役立つ情報を提供
AIカメラやWi-Fiのデータを解析し、ビルや店舗テナントの来店者数・顧客の性別や年代といった属性情報を取得します。また、過去の来館者情報の集計だけでなく、そこから算出される今後の来館者予測など、店舗運営に活用できるレポートを各テナントに提供。
店舗は、提供されるレポートの来館者情報をもとに、
- 仕入れや適切な在庫管理
- 繁閑に合わせたクーポンの発行といったキャンペーンの施策検討
などを実践し、店舗運営に役立てることができます。
店舗ごとにセンサー・カメラといった設備を導入するには、かなりの費用がかかります。その点、東京ポートシティ竹芝オフィスタワーでは、ビルが代わってデータを収集してくれるため、負担は小さく済みます。
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーで稼働するロボット
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーは、センサーやAIによるデータ活用だけでなく、ロボットの活用も積極的におこなっています。
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーで稼働するロボットは、
- ビルが運用しているロボット
- テナント店舗で運用しているロボット
- スポットで実証実験をおこなっているロボット
の3パターン。
どのようなロボットが稼働しているのでしょうか?以下で見ていきます。
ビルメンテナンスの人手不足を解消する清掃・警備ロボット
ビルの清掃・警備など、ビルメンテナンスに関する業種は慢性的な人手不足が続いており、その解消方法のひとつとして「ロボットの稼働」が期待されています。
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーでは、
- 清掃ロボット(Whiz/7台)
- 警備ロボット(SQ-2/1台)
といったロボットが稼働しており、人手不足の解消に一役買っています。
※ロボットの台数は、2020年11月現在の数です。

また、ビルにロボットを導入する上で最大の課題である「エレベーターを利用した上下階の移動」は、
- どの階に向かえばいいのか判断する
- 行き先階のボタンを押す
など、ロボットにとって難易度が高い行動を伴います。
警備ロボットSQ-2は、この課題を三菱電機株式会社の「ロボット・エレベーター連携システム」によって解決しました。
複数のロボットからの要請によって、ロボットと連携したIoTプラットフォームが
- エレベーターの呼び出し
- エレベーターの扉の開閉情報のやりとり
- ロボットの乗車・降車の指示
- 行き先階の登録
といった内容を代行し、ロボットを行き先階へスムーズに移動させます。
『リアルタイムデータ活用で快適さを追求した最先端の都市型スマートビル「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」 2020年5月29日(金)竣工・9月14日(月)開業決定』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000054402.html
ロボットの稼働において、運用中の故障や、ビル利用者との接触といったトラブルは起きていません。順調に任務を遂行しており、最先端のスマートビルとして、魅力アップの効果も期待されています。
テナントの店舗で稼働する先進的なロボット・スポットで実証実験を行うロボット
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーの先進的な取り組みに共感するテナントも多く、ビル内に入居するコンビニエンスストア「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」では、店舗でロボットを稼働させています。

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ローソンで稼働するのは「Model-T」というヒューマノイドロボット。店内のバックヤードで飲料や弁当といった商品陳列をおこなっています。
ほかにも、ビル館内では- 非接触で荷物を運ぶ搬送ロボット(Cuboid)
- WEB会議システムを搭載し、遠隔操作が可能なテレブレゼンスロボット(newme)
といったロボットの実証実験がスポットでおこなわれています。
東急不動産株式会社様のコメント
「数年後には【ロボットが、人間のお手伝いをスムーズにこなす】ようになり、10年も経てば【ロボットにはできない業務を、人間が担う】という段階に入るということも夢ではないかもしれません。
最新のテクノロジーを実装したスマートビルを開発した実績は大きいと考えており、この竹芝での取り組みを活かし、人間とAI・ロボットが共存するであろう未来に向け、今後もスマートビルの開発に取り組んでまいります」
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