業界初!食品の冷凍自動販売機「ど冷えもん」の誕生秘話
最終更新日:2022年01月04日
サンデン・リテールシステム株式会社が培った技術を集約し、開発された冷凍自動販売機「ど冷えもん」。
上半期だけで、販売台数が1,000台を超える勢いを見せています。
今回、ど冷えもんの誕生のきっかけや、冷凍食品の今後などについて、サンデン・リテールシステム株式会社様の広報担当者様にお話をうかがいました。
冷凍自動販売機「ど冷えもん」が誕生するまで
ーーまず、開発のきっかけを教えてください。
広報担当者様:「個食(一食分ずつ小分けにしてある食品)」の需要が伸びているという市場の動向をキャッチしたからです。
各営業担当がコンビニエンスストア担当者へヒアリングなどの市場調査をしたところ「コンビニで個食の販売が伸びている」という状況を掴みました。
元々冷凍技術に関しては社内にノウハウがあったこともあり、「冷凍自動販売機で個食を販売してみては?」という話が上がりました。
また、弊社ではSDGsの観点からも「廃棄ロスを減らしたい」という思いがあります。そういった意味でも「長く保存できる冷凍食品を販売する」という方法はピッタリでした。
そこで、2019年3月にど冷えもんの開発チームを立ち上げました。
ーー開発にあたり苦労した点などはありますか?
広報担当者様:主に以下の3つの点が、開発時に苦労したポイントです。
- 限られたスペースに設置できるようコンパクトに設計する必要がある
- 商品が傾いたり崩れたりしないよう内部を設計する必要がある
- 飲食店の方が商品の補充をしても品質を保持するために一定の温度が保たれる必要がある
上記の課題から、今まではアイスクリーム以外の冷凍食品の自動販売機がありませんでした。。
アイスクリームであれば、商品が小さいので自動販売機もコンパクトに設計できます。
アイスクリーム販売の場合でも、サイズや形に関しては一定の基準を満たしている必要があり「売りたい商品を何でも売れる」わけではありませんでした。
そのため、冷凍の食品を扱う自販機自体が存在していませんでした。
ーー課題を解決するために、どのような対策をしたのでしょうか?
広報担当者様:課題を解決するために
- 内部容量を確保しつつ、本体をコンパクトに設計
- 搬出口に最も近い状態で商品を搬出するため縦吊りのストッカーを採用
- 品質を保つため自動で温度管理できるシステムを搭載
などの対策をし、開発まで試行錯誤を重ねました。
対策1.内部容量を確保しつつ、本体をコンパクトに設計
ーー3つの対策について、それぞれ詳しく伺えますでしょうか?
広報担当者様:1つ目は、内部容量を確保しつつ、本体をコンパクトに設計したことです。食品の自動販売機は、品質を保つため温度管理が大変重要です。
一方、扉や内部に断熱材を何層も入れると、容量が圧迫され格納できる食品数も減ってしまいます。そこで、断熱材をできるだけ薄くし、本体の容量を確保しています。
その結果庫内の温度を、補充時に扉を開けても温度が上昇しにくい約-25度まで冷却することに成功しました。
ーーただ断熱材を入れるだけでなく容量にも配慮すると、工夫が必要なんですね。
広報担当者様:そうなんです。自動販売機は路面に設置するので、道路にはみ出して道路交通法違反にならないよう、コンパクトなサイズが求められます。
店頭に設置することを想定して現地調査を重ね、どんなスペースにも設置できる薄型に設計しています。
また、ファンで冷気を循環させ、冷気がまんべんなく行き渡るようこだわりました。これまでの弊社の冷凍技術を駆使しているので、補充のために扉を開けても、温度変化による品質低下を防止しています。
対策2.搬出口に最も近い状態で商品を搬出するため縦吊りのストッカーを採用
ーー2つ目の対策について教えてください。
広報担当者様:そもそも自動販売機は、目の前の購入者へ安定した状態で商品を届ける必要があります。
商品がひっくり返ったりパッケージがつぶれたりすると、商品の品質や信頼に影響が出かねません。
そこでど冷えもんは、縦吊りのコイルを採用しました。食品が、縦吊りのコイルを回転しながら取り出し口まで降りていく構造です。
広報担当者様:商品の重さやパッケージの形状が異なっても、安定して購入者に届けられる構造を実現しています。
対策3.品質を保つため自動で販売中止する温度センサーを搭載
ーー3つ目の対策についてもお聞かせいただけますか?
広報担当者様:食品は、品質を落とさないための温度管理がとても重要です。そのためど冷えもんでは「品質を保つため自動で販売中止できる温度センサー」を搭載しました。
具体的には「庫内の温度が-15℃より高い状態で90分続いたら、アラームが送信され自動で販売中止する」というシステムです。
飲食店はとても忙しいので、食品の品質管理は大変と聞きます。一方、お客様へ良い食品を届けるためには、商品の味や品質の安全を保つことは必須条件です。
そこでこの「自動で品質管理するシステム」は、大変評価いただいています。
ユーザーの利便性にも追及した「ど冷えもん」
ーー他にど冷えもんの開発におけるこだわりはありますか?
広報担当者様:「ユーザーが簡単に利用しやすいタッチパネルを搭載」「電子マネーやQRコード決済などキャッシュレス対応」などですね。
ど冷えもんでは、タブレット端末のようなタッチパネルを搭載しています。
広報担当者様:無人で営業する自動販売機は、スタッフによる説明がなくても購入してもらえる仕組みが必要です。そこで、だれでも操作しやすいタブレットのような操作画面を採用しました。
馴染みのある操作画面で、戸惑うことなく買っていただけるよう工夫しています。
ーー馴染みのある画面だと購入しやすいですよね。2つ目の「キャッシュレス対応」についても伺えますか?
広報担当者様:ど冷えもんは現金決済だけでなく、キャッシュレス決済にも対応しています。
スマートフォンが普及した現在は、電子マネーやQRコード決済をメインの決済手段にしている方も多いです。中には「そもそも現金を持ち歩かない」という人もいます。
そういった方でも決済しやすいよう、キャッシュレス決済ができるよう設計しました。キャッシュレス決済だとポイントが貯まることもあり、多くの方によろこんでいただいています。
「ど冷えもん」を設置するメリットとは
ーーたくさんのこだわりが詰まったど冷えもんですが、設置するメリットをお聞かせいただけますか?
広報担当者様:メリットは3つあると考えています。
- 24時間、非接触、非対面での新たな販売経路の開拓
- 人手が限られる店舗での自動販売機での販売を強化
- 多様な販売スタイルに対応できる
メリット1.24時間、非接触、非対面での新たな販売経路の開拓
広報担当者様:まず1つ目は、24時間、非接触、非対面での新たな販売経路を開拓できることです。基本的に店舗では、営業時間内でしか売上を確保できません。
ですが自動販売機なら24時間いつでも販売し、売上につなげることができます。
また、商品は急速冷凍した後に自動販売機にて販売するため、店舗と同じ品質の商品を提供することが可能です。
広報担当者様:実際、店舗と自動販売機の2つの販売経路を確保することで、売上が倍増した飲食店様もいます。
またクラウドで販売データの収集ができるので「どんな時間に」「どの商品が」購入されたかなどを把握できることも、好評いただいているポイントです。
チェーン店の場合、本部でデータ分析し販売戦略を支店へ伝達できるため、マーケティングがしやすくなるメリットもあります。
メリット2.人手が限られる店舗での自動販売機での販売を強化
ーー自動販売機で食品が販売できれば、人手が足りない飲食店でもよろこばれそうですね。
広報担当者様:はい。2つ目のメリットとして、人手が限られる店舗でテイクアウト販売ができるようになりました。
広報担当者様:例えば、少ない人数で経営されている飲食店ですと、来店客をお待たせしてテイクアウト商品を用意しなければなりません。
しかし自動販売機で「店舗と同じ品質の商品」を提供できれば、少ない人数で回している店舗でも、「来店者への食品の提供」と「テイクアウト販売」を同時に進行できます。
店舗としては、どのお客様も大切ですから、できるだけお待たせしたくありません。そのため「お客様を待たせずテイクアウトを強化できる」とよろこんでいただいています。
メリット3.多様な販売スタイルに対応できる
ーー3つ目のメリットについても伺えますでしょうか?
広報担当者様:3つ目のメリットとして、多様な販売スタイルに対応できるようになりました。弊社のお客様で、ロケ弁当を販売されている企業がいます。
もともとBtoBのみで販売していたのですが、ど冷えもんを導入したことで、一般の方にも購入してもらえるようになりました。
また、焼肉店の店舗前に設置し「店内飲食より安い価格」で販売したところ、自動販売機での購入がきっかけで来店につながった事例もあります。
他にも、ど冷えもんに県内の特産品を集めたり社内の食堂前に設置したり、斬新なアイディアで活用されています。
「ど冷えもん」広報担当者様のコメント
弊社では、自動販売機を利用した冷凍食品の販売に可能性を感じています。
冷凍食品の販売は対面が中心でしたが、コロナ禍を経てECが注目されるようになりました。そしてど冷えもんにより、新たな販路経路が誕生しています。
実際、ど冷えもんはすでに全国46都道府県に設置されており、販売台数も増えています。今後もみなさまによろこんでいただけるよう、ど冷えもんの改善を続けていきたいです。
ーー本日はありがとうございました。
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