工場のデジタル化を進めるメリットや課題は?3つの事例を紹介
最終更新日:2021年09月30日

「工場のデジタル化について耳にするようになったけど、具体的に何をすればいいのだろう」
「製造業の工場のデジタル化は、どの程度進められているのかな?」
このようなお悩みはありませんか。
昨今は様々な場所でデジタル化が推進されており、製造業などの工場でも導入が進められています。
ただ一口に「デジタル化」と言っても様々なものがあるため、具体的な導入内容がわからないと感じている方も多いかもしれません。
そこでこの記事では、
- 製造業の工場のデジタル化の現状
- 工場のデジタル化のメリット・デメリット
- デジタル化の事例
といった内容について詳しく解説します。
工場のデジタル化を推進させ、業務の効率化を行いたい場合は、ぜひ参考にしてください。
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製造業のデジタル化は遅れている?現状と具体例
では、製造業では具体的にどの程度のデジタル化が進んでいるのでしょうか。
以下の円グラフは、ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況についての調査結果です。
出典:2020年版ものづくり白書 図231-1 ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況
「すでに活用している」が半数近くを占めているほか、「活用を検討中」も20%以上を占めるなど、7割以上の企業がデジタル技術の活用について前向きな意見を持っていることがわかります。
次に、導入されたデジタル技術の内容について注目してみましょう。
以下のグラフは、ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況の内訳について、大企業と中小企業に分けてグラフ化したものです。
出典:2020年版ものづくり白書 図231-2 ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況(企業規模別、工程、活動別)
大企業と中小企業によって違いがあるものの、主に生産管理や受・発注管理にデジタル技術を活用していると言えます。
ただデジタル技術の活用とは言っても、「具体的にどのようなことをしているの?」とお悩みの方も多いでしょう。
デジタル化を推進している企業では、たとえば以下のようなことに取組んでいます。
- ペーパーレス化
- IoT機器の導入
- ロボットによる自動化や省力化
- スマートファクトリー(AIやIoTなどの技術を取り入れた工場のこと)
「デジタル化」と聞くと工場内の機器をすべて取り替える必要があるように感じるかもしれませんが、書類をデータ化するペーパーレス化などもデジタル化の1つです。
デジタル化はただ機械を導入するだけでなく、人手不足の解消などの、企業にとって嬉しい複数のメリットが存在します。
次の見出しでは、デジタル化のメリットについて詳しく見ていきましょう。
工場のデジタル化を進める5つのメリット
- 作業員の負担軽減
- 作業員の働き方の改善
- 生産性の向上
- 製品の品質向上
- 人手不足の解消
工場のデジタル化には、主に上記の5つのメリットが存在します。
ここでは、メリットについて詳しく解説します。
メリット①作業員の負担軽減
デジタル化の大きなメリットは、作業員の負担軽減です。
デジタル化を行えば、一部の作業にかかっていた時間を軽減できるため、作業員の負担軽減につながります。
たとえば書類作業が大きな負担になっていた工場にて、ペーパーレス化を行った場合について考えてみましょう。
従来は、製造業務と書類作業の両立が難しく、作業に多くの時間と手間がかかっていました。
しかしペーパーレス化により書類をデジタル化すれば、書類作業の時間が大きく減少し、製造業務に専念できるようになります。
このようにデジタル化を推進すると、労働時間や担当業務の減少により、作業員の負担軽減に役立ちます。
メリット②作業員の働き方の改善
負担軽減だけでなく、働き方の改善に役立つことも重要なポイントです。
本来の業務以外の作業により、残業などの時間外労働が発生している工場も多く存在します。
デジタル化により作業員に対する負担が軽減すれば、労働時間の減少にもつながり、作業員の働き方の改善にも役立つでしょう。
メリット③生産性の向上
デジタル化により、生産性が大きく向上するケースも多いです。
たとえば今まで複数人の作業員が担当しており、時間のかかる作業をデジタル化したとします。
すると完成までの時間が短縮できるだけでなく、作業員に他の仕事を割り振ることも可能になります。
多くの時間や人数が必要だった作業がデジタル化によって短時間で終わることにより、生産数アップが期待できるでしょう。
また社員は余裕を持った働き方ができるようになり、集中して業務に取り組むことで、生産性の向上にもつながります。
メリット④製品の品質向上
製造部分をデジタル化した場合は、製品の品質向上も期待できます。
製造部では様々な作業員が作業を担当しますが、担当する人によって完成のレベルが異なり、ベテランの作業員のレベルまで到達することは困難であると言われています。
そのため、担当した作業員のレベルによって、品質がバラバラになってしまうことが課題視されていました。
しかしデジタル化を行えば機械が製造を行うため、品質が統一されて、製品の品質が向上します。
メリット⑤人材不足の解消
人手不足の解消も、大きなメリットの1つです。
2018年に経済産業省が発表した資料「製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について」によれば、製造業における人手不足は深刻であり、94%以上の大企業・中小企業において顕在化していると書かれています。
中でも「技能人材」の獲得に苦労しており、特に中小企業において確保が求められていることがわかります。
デジタル化を進めれば、今まで従業員が行っていた作業を機械化できるため、人手不足の解消にも大いに役立ちます。
時間や手間のかかる作業をデジタル化することにより、異なる作業への人員の配置が可能になるでしょう。
工場のデジタル化を進める上での3つの課題
- デジタル技術に関するノウハウや人材の不足
- 技術導入に置ける予算不足
- デジタル技術を活用できる人材の確保や、育成に対する予算不足
一方デジタル化には、上記のような課題も存在します。
ここでは、導入における3つの課題について解説します。
課題①デジタル技術に関するノウハウや人材の不足
最も大きな課題は、デジタル技術に関するノウハウや人材不足です。
デジタル技術は、導入して終わりではなく、その技術を活用する必要があります。
よって活用方法がわからなかったり、活用できる人がいなかったりすると力を発揮できません。
特に今までほとんどの作業を手作業で行っていた場合は、デジタル技術へ対応しきれないケースも多く見られます。
人材の確保も難しい場合が多く、課題解決までには時間がかかると言えるでしょう。
課題②技術導入における予算不足
予算不足もまた、大きな問題点の1つです。
作業の効率化のためデジタル化を進めたいと思っても、デジタル化には多くの費用がかかります。
たとえば製造に関わる機器の導入や買い替えなどが必要になった場合は、機器の本体の代金や取付費用などのコストが発生します。
またスマートファクトリー化する場合は、インターネットを介する攻撃に備えて、セキュリティ対策にも力を入れる必要があるため、セキュリティ対策にも費用がかかると言えるでしょう。
するとまとまった予算が確保できない場合は、予算不足により、デジタル技術を導入できません。
課題③デジタル技術を活用できる人材の確保や、育成に対する予算不足
先述の通りデジタル技術の活用後には、人材の確保が必要になります。
よって採用や育成が必要になりますが、そもそも人材不足で悩んでいる場合は、応募者が少なく新しく人を雇えないことも多いです。
また育成のためには外部セミナーや講習などに参加する必要があるものの、セミナーに参加するにもコストがかかり、予算不足の場合は参加できません。
そのためデジタル技術を導入はできたものの、活用人材の確保や育成の予算不足で対応できないケースも多く見られます。
上記のように工場のデジタル化には複数の課題が存在しますが、これらの課題を乗り越え、デジタル化の推進に成功した工場も多く存在します。
次の見出しでは、製造業の工場のデジタル化事例について見ていきましょう。
製造業の工場のデジタル化事例3つ
- ダイキン工業株式会社
- TOTO株式会社
- 株式会社島精機製作所
製造業の工場の中には、デジタル化の導入に成功した企業も複数存在します。
ここでは、製造業の工場のデジタル化事例を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ダイキン工業株式会社
ダイキン工業は、エアコンなどの空調製品を主に製造しているメーカーです。
同社では急速なグローバル化の推進に伴い、熟練技術者の不足や引退が大きな課題でした。
そこで日立製作所と協業で、部材を接合する手法である「ろう付け」作業のデジタル化と、作業評価システムの共同開発に取り組みます。
ろう付けは特に高いレベルの技術が必要な作業で、空調機器の製造に欠かせません。
デジタル化の取り組みにより、作業員の"カン"や"コツ"に頼らない技術伝承の効率化を図り、研修期間を半減することを目標として取組んでいます。
TOTO株式会社
TOTOは、衛生陶器(便器や洗面器)システムトイレなどの住宅設備機器を製造しているメーカーです。
同社では2004年から社内業務へのデータ活用を推進しており、2019年頃からは製造現場へのデジタル化を進めています。
従来、衛生陶器の製造は作業員の現場の経験によって製造を行ってきましたが、時代と共に国内工場の作業員が持つKKD(勘・経験・度胸)を可視化し、グループ内で共有する必要性が高まってきました。
そこで同社は滋賀工場にて、
- IoTによる製造データの取得
- データの可視化
- 不良要因の分析
などの作業を開始します。
またそのデータを活用してPDCAによる良品の割合増加を目指したところ、PDCAサイクル開始から半年で過去最高の歩留まり(製造個数に含まれる良品の割合)を達成しました。
今後は国内の工場すべてにおいてデータ活用を進め、生産性の向上を推進していく予定です。
株式会社島精機製作所
島精機製作所は、ニットを編むマシンや、洋服にフルカラープリントができるプリンティングマシンなどを製作する機器メーカーです。
同社では、時間のかかる糸切れ検知装置の組み立て加工工程にロボットを導入し、ロボット化を実現しました。
従来は熟練作業員による手作業で組み立てを行っていましたが、「人数が必要である」「作業を担当する人によって品質が安定しない」などの課題が存在していました。
そこで同社はロボットを7台導入し、作業のロボット化を推進します。
すると従来必要だった作業員は8人から3人になり、労働生産性は2.7倍に上昇しました。
工場のデジタル化にはキャッシュレス決済サービスの導入も便利
工場のデジタル化には、大掛かりな機器の導入だけでなく、小規模なシステムの導入も効果的です。
予算やノウハウ不足などで大掛かりなデジタル化が難しい場合は、キャッシュレス決済サービスの導入がおすすめです。
たとえばキャッシュレス決済サービスでの「オフィスペイ」では、食堂の券売機や自動販売機に専用機器を設置するだけで、社員証やクレジットカード等で簡単にキャッシュレス決済ができるようになります。
支払い方法はカードをピッとタッチするだけなので、特殊なノウハウや技術は必要ありません。
常に携帯している社員証をかざすだけで、休憩時に財布を持ち歩く必要もないため、より社員食堂や自販機を利用しやすくなります。
さらに利用した金額は、給料からの天引きと会社負担のどちらかを選択できるため、福利厚生の一貫としての活用も可能です。
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まとめ
この記事では、工場のデジタル化の現状やメリット・デメリット、事例について紹介しました。
工場のデジタル化は推進傾向にあり、人手不足などの重大な問題の解決のため、今後導入が進められていくと考えられます。
ただデジタル化は便利な一方で、導入費用がかかる、ノウハウが不足しているなどの課題も存在します。
デジタル化と聞くと機器の取り替えのような大掛かりなものを想像しがちです。
しかし、キャッシュレス決済の導入やペーパーレス化など、それほど規模が大きくないものも存在します。
できる範囲から、デジタル化を進めてみてはいかがでしょうか。
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