製造業などの工場は離職率が高い？

厚労省が発表した「令和2年雇用動向調査結果」では、産業別の離職率がわかります。製造業の離職率は、わずか9.4％です。

16業種中4位なので、産業別に見ても従業員の定着率はかなり優秀と言えます。離職率が低い理由は、実はメリットがたくさんあるからです。

たとえば、

• 夜勤がある場合は高収入になる
• マニュアルが整備されていることが多く、イレギュラー対応が少ない
• 学歴不問の場合が多く、採用されやすい

などが挙げられます。

昔の工場のイメージは「きつい」「汚い」「危険」という、いわゆる3Kだったので、退職する人が多かったのではないでしょうか。

しかし、現代の工場は働き方改革が進んだこともあり、かなり好条件になりました。3Kや離職率が高いイメージは、すでに過去のものと言えます。

離職につながりやすい従業員の不満6つ

離職率を上げる要因として、従業員の満足度の低さが挙げられます。離職率を下げるために、満足度の低さである従業員の不満を知っておきましょう。

当てはまるものがあれば、改善を考えましょう。

不満①単純作業が多く、やりがいがない

工場の仕事は誰でも始めやすい反面、単純作業ばかりでやりがいを感じづらい性質があります。特に生産ラインの仕事だと、毎日同じことの繰り返しです。

ずっと同じ製品に同じ部品を取り付けるという仕事なら、達成感も感じないですし、モチベーションも上がりません。やりがいや楽しみがなければ「続けたい」とは思わなくなります。

仕事内容を変えるのは難しいと思いますが、従業員がやりがいを感じるようなインセンティブなどあればいいかもしれません。

不満②給料が少ない

給料が少ないという声をよく耳にします。業務内容によると思いますが、重労働な現場や精密性の高い現場では給料に見合っていない場合もあるかもしれません。

たとえば、1日に何度も重量物の上げ下げをする業務は大変です。また、ちょっとしたことが大きな失敗につながる精密機器は、常に気を張らなくてはいけません。

上記のような場合、給料の額は高くても、「作業に見合わない」として退職を考える人もいます。給料が作業に見合っているか、従業員の声に耳を傾けましょう。

不満③重労働である

業務内容によりますが、重量物の運搬が大変で退職を考える人もいます。毎日行うとケガのリスクも高まり、歳を重ねると体力もついていかなくなるかもしれません。

特に物流関係の部署では、運搬がメインの業務になるので該当する人が多くなります。従業員の声や様子に注目し、無理をしていると感じた場合は、配置転換なども考えてみましょう。

不満④夜勤やシフトが大変

工場によっては夜勤があったり、2交替や3交替のシフトだったりします。生活リズムが特殊なので、私の経験ではこれが原因で退職する人もいました。

24時間稼働している工場では夜勤があるので、日中に睡眠をとるという生活リズムになります。私の経験でも、十分な休息をとれないまま夜勤に臨んだり、友人と休みが合わなかったりと大変でした。

不満⑤ケガのリスクがある

3Kからはすでに脱却していますが、リスクのない業務がなくなったわけではありません。ものづくりにはどうしても避けられない業務です。

私の経験した工場でも、

• 人体に有毒な化学薬品を扱う
• 大きな重量物を運搬する

などありました。

安全対策は取られていますが、人が作業する以上、リスクがゼロにならないのが現状です。

不満⑥休日出勤がある

工場によってはシフトに穴を開けられないため、当日に休日出勤を依頼される場合もあります。当然プライベートの時間はなくなってしまいます。

私のいた工場では常に人手不足で、日常的に休日出勤を依頼されていました。

そのほかにも一時的な増産の対応で、休日出勤することもあります。工場によりますが、一時的な増産では人の補充はされないことが多く、残業や休日出勤で対応します。

近年の労働者はプライベートの時間を大切にする傾向があるため、休日出勤の多い体制に不満を抱くことが多いようです。

離職率を下げるための対策5つ

離職率を下げるためには、従業員の満足度を向上させることが重要です。従業員が感じていることや意見に注目し、適切な対策をとりましょう。

上記の5つが代表的な対策です。順番に紹介します。

対策①福利厚生を充実させる

従業員の満足度を上げるためには福利厚生を充実させて、「働きたい」と思われる職場づくりが重要です。

福利厚生の充実は、従業員の満足度に直結します。たとえば、下記のような福利厚生があります。

私が受けていた福利厚生は、「家賃補助」と「休暇の取りやすい仕組み」です。どちらもモチベーション上げるには十分な効果でした。

対策②従業員の声を反映する

従業員の満足度を知るには、従業員の生の声を聞くのが一番です。従業員が不満に思っているかは聞かなければわかりませんし、不満を解消できれば「辞めたい」と考えません。

重要なのは下記の3つです。

1. 定期的に面談して、従業員の意見を吸い上げる
2. 聞いて終わりにせず、できる限り対応する
3. どうしても無理な場合でも、ほかの解決策がないか一緒に考える

従業員の意見をすべて受け入れることは、現実的に難しいでしょう。しかし、不満の解消につながらなくても「がんばって対応してくれた」と従業員が思ってくれれば、それだけで満足度向上につながります。

対策③従業員の配置換えをする

従業員が希望するのであれば、配置換えも考えてあげましょう。

工場に限りませんが、現場での人間関係や仕事内容に不満がある場合もあります。人間関係や仕事内容のトラブルは根深いので、完全な解決は難しいかもしれません。

場合によっては異動も選択肢として考えますが、厄介払いのような異動にならないよう注意が必要です。

対策④管理職の教育を徹底する

離職率を下げるために、管理職の教育も重要です。人間関係のトラブルをより深掘りすると、管理職に対して不満を持つ場合も多く見られます。

管理職によっては「現場を知らない」人材になりがちです。そうならないために、

• 定期的に現場を視察する
• 従業員と会話する

などをして、従業員のモチベーションを上げるような行動をとるよう教育します。

従業員から「現場を知らないくせに」と思われないように注意しましょう。

対策⑤従業員を公正に評価する

従業員の評価は公正に行いましょう。たとえ単純作業でも、人によって品質が異なる場合もあるため、正しい評価が重要です。それを一緒くたにして、同様の評価を行うと不満が出る恐れもあります。

また、重要なのは製品の品質だけではありません。

• 積極的に作業の改善提案をする人
• 遅刻ギリギリで出社してダラダラ仕事をする人

上記の2人がいる場合、たとえ製品の品質が同じでも、同じ評価にはならないのではないでしょうか。従業員を総合的に見て、正しい評価を行いましょう。

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まとめ：工場の離職率を下げるために従業員満足度を上げよう

製造業の離職率は高くありませんが、できるなら限りなくゼロに近づけたいものです。

そのためには従業員の声を聞いて、不満を解消するのが重要です。満足度を上げることで、従業員は「この会社でよかった」と考えるようになり、離職率は自然と下がります。

従業員の満足度を上げるためには福利厚生の充実が大切です。記事内で紹介した以外にもさまざまな手法があるので、会社に合ったものから実施してみてください。

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