デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例15選と成功のポイント
最終更新日:2021年01月26日
昨今、IT技術やテクノロジーの進歩により経済産業省をはじめ多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進がされています。
さらに2020年では、人手不足やコロナウイルスの問題によりデジタルトランスフォーメーションを積極的に取り入れたいと思っている企業も多いです。
とはいえ、「実際のところ何をどうしていけば良いか分からない」といった企業も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、デジタルトランスフォーメーションの成功事例を紹介します。
成功事例をもとに、デジタルトランスフォーメーションでどういったことができるのか、どうしたら良いのか自社に取り入れる際の参考にしてくみてください。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義をおさらい
成功事例をご紹介する前に、そもそもデジタルトランスフォーメーション(DX)についておさらいしておきましょう。
デジタルトランスフォーメーションとは「私たちの暮らしや生活、仕事などをIT技術やテクノロジーによって便利にする」という概念を指します。
具体的には、システムやツールによって仕事や身の回りの行動を効率化し、生産性の向上を図る取り組みです。
デジタルトランスフォーメーションの成功事例15選
- Netflix:DVDレンタル業界を変えた動画見放題サービス
- Spotify:CDレンタルや楽曲ダウンロードを変えた聞き放題サービス
- Uber:「ボタン一つでタクシー配車」を実現した配車アプリ
- Airbnb:新たな旅行市場を確立した宿泊施設の紹介サービス
- メルカリ:スマホアプリでのCtoCのフリマ市場を確立
- 小松製作所:施工プロセスをDXした成功事例
- ソフトバンク:データ入力の自動化で月200時間を削減
- 三井住友銀行:お客様の声を瞬時に分析・グループ化
- 家庭教師のトライ:どこでもスマホで見られる映像学習サービス
- ファミリーマート:ファミペイの導入とセルフレジの導入
- 大塚製薬:薬の飲み忘れ防止システムを提供
- スペースリー:VRでの物件内覧を実現
- 日本郵便:ドローンを用いた荷物の配送を実施
- ゼブラ:3Dプリンタの導入で文具の試作品作りを短縮
- RIZAP:ゴルフスイングのデータ解析センサーを導入し、カウンセリングの質を向上
今回紹介するデジタルトランスフォーメーションの成功事例は上記の通り。様々な成功事例があるので、順番に見ていきましょう。
①Netflix:DVDレンタル業界を変えた動画見放題サービス
今や動画配信サービスの中でも非常に高い人気を誇るNetflix。
現在は月額制で動画の配信サービスを提供していますが、実は元々のサービス内容は今とは少し違いました。
というのも、以前まではインターネット上のサービスではなく、映画などのDVDを自宅に届けるというサービス内容だったのです。
ですがその後デジタルトランスフォーメーションを取り入れ、自社のプラットフォームを作成し動画を配信する形に移行しました。
その結果、動画配信サービスの中でも人気を博し、今では自社でも映像コンテンツを作成し配信するなど成功を納めています。
②Spotify:CDレンタルや楽曲ダウンロードを変えた聞き放題サービス
Spotifyが登場するまで、今まで私たちが音楽を楽しむにはCDやWebで購入した音源を機械に取り込んで聞く方法が主流でした。
当時もインターネットに接続すれば音楽を聴けるサービスはあったものの、スマホが普及するまではなかなか定着してこなかった実態があります。
ですが、スマホが徐々に定着しアプリで様々なことができるようになった際に登場したのがこのSpotifyです。
他にも似たような音楽のストリーミングサービスは存在していました。
しかしSpotifyは、曲数の豊富さや他人が作ったプレイリストの利用、対応するスマホ端末の多さなどで差をつけ成功を納めました。
③Uber:「ボタン一つでタクシー配車」を実現した配車アプリ
Uberは、ボタン一つでタクシーの配車を可能にしました。
今やUberというと食べ物を届けてくれるサービスのイメージが強い方が多いかもしれませんが、もともとは配車サービスを提供しています。
以前はタクシーを利用するのに、タクシー会社へ電話するか、走行中のタクシーを止めて乗る方法がありました。
タクシーを利用したい時によくあるのが、
- タクシー会社へ電話がなかなか繋がらない
- タクシーが通らない、止まってくれない
などなど。
こんな問題を解決したのがUberの配車サービスです。アプリを開き配車依頼を出せば、近くにいるタクシーとマッチングし乗ることができます。
タクシーの配送をDXし、不便な部分をうまくカバーしている成功事例と言えるでしょう。
④Airbnb:新たな旅行市場を確立した宿泊施設の紹介サービス
Airbnbは、泊まれる場所を提供したい人と泊まれる場所を探す人をマッチングするサービスです。
今まで宿泊というと、ホテルや旅館など、宿泊業者が営む宿に泊まることがほとんどだったのではないでしょうか。
ですが、Airbnbはホテルや旅館以外でも個人の別荘や自宅の個室、ツリーハウスやテントなど様々な場所に宿泊することが可能です。
日本を含む世界190ヶ国以上で利用され、ホテルなどでは味わえない経験ができると話題を呼んでいます。
「宿泊場所を提供したい人」と「自由度高く泊まりたい人」のマッチングサービスはあるようでなかったので、これも上手く需要を活かし成功した事例と言えるでしょう。
⑤メルカリ:スマホアプリでのCtoCのフリマ市場を確立
フリマアプリといえば、真っ先に出てくるのはメルカリと言っても過言ではないほどの地位を確立しているサービスです。
メルカリの登場により個人間の売買がスマホで気軽にできるようになった他、リサイクルショップなどでは値段のつかない物も売ることが可能になりました。
⑥小松製作所:施工プロセスをDXした成功事例
小松製作所では、今まで膨大な時間がかかっていた施工プロセスにDXを取り入れることで、大幅な工数短縮に成功しています。
具体的には
- ドローンによる3次元測量
- 3D施工計画やシミレーション
- ICT建機とアプリで3D施工や施工管理
- ドローンによる3D出来形検査
などです。
実際に施工プロセスにDXを取り入れた場合、通常765日かかる計算のものが470日にも短縮することが可能になった結果が出ています。
DXによりPDCAを早く回せることが可能になり、効率や生産性を上げることに成功した事例と言えるでしょう。
参考:https://home.komatsu/jp/ir/library/results/03_KomatsuDX.pdf
⑦ソフトバンク:データ入力の自動化で月200時間を削減
ソフトバンクでは、携帯を落とした時に届く「落とし物通知依頼書」の処理をDXすることで効率化に成功しました。
以前は依頼書の内容を専用のシステムに手入力しており、毎月6,000件近くの件数を10人もの人員を割いて対応していました。
人が入力しているが故に、入力ミスや処理スピードの差があるなどの課題がありました。
そこで書類のデータ化サービスを導入したところ、なんと担当者を1人にまで削減することに成功したのです。
DXを導入したことで人員コストの削減に成功した事例と言えます。
参考:https://dx-suite.com/casestudy/2020/03/03/uservoice021
⑧三井住友銀行:お客様の声を瞬時に分析・グループ化
三井住友銀行では、以前まで「お客さまの声」を人の手で分類・整理していました。そこへ、NECが提供するビックデータの分析技術を用いて効率化を測りました。
その結果、「お客さまの声」の処理をシステムに任せ、グループ化などの分類の精度とスピードが向上。より高い顧客満足度を実現しました。
参考:https://jpn.nec.com/press/201505/20150522_01.html
⑨家庭教師のトライ:どこでもスマホで見られる映像学習サービス
家庭教師のトライで行われたDXは「映像での学習サービス」です。
スマホやタブレットでも簡単に閲覧できるため、自宅でも動画を視聴することで勉強が可能になりました。
コロナ禍の現在、オンライン授業が取り入れられ多くの学生が自宅で学習しています。動画学習の需要も増えていくと考えられるため、今後も期待されるサービスです。
⑩ファミリーマート:ファミペイの導入とセルフレジの導入
コンビニ大手のファミリーマートでは、様々なDXを導入しています。
例えば、自社の決済サービス「ファミペイ」。
ファミペイでは他の決済サービスと違い、コンビニで使えるクーポンやお得にポイントが貯まる機能があります。
またファミペイ以外のDXとしては、セルフレジの導入が挙げられます。セルフレジとは、利用者が自分で商品をスキャンし購入する方法。レジの待ち時間を短縮できます。
このように、ファミリーマートでは、DXを通して利用者の利便性アップを図ることに成功しています。
⑪大塚製薬:薬の飲み忘れ防止システムを提供
大塚製薬では、薬の飲み忘れを防止するシステムを提供しました。このシステムが提供された背景には、日本の完全服用率の低さがあります。
そこで大塚製薬では、飲み忘れを防ぐために服薬支援システムを開発し提供しました。
現在は一部の患者さんに提供されており、本人はもちろん、介護している人にも役立つシステムです。
人生100年時代と言われる今、少しでも長生きするためには病にかかった時に最善の治療ができるかが重要です。
そのためこの服薬支援システムは、今後も大いに活躍する成功事例と言えるでしょう。
参考:https://wisdom.nec.com/ja/collaboration/2017102401/index.html
⑫スペースリー:VRでの物件内覧を実現
スペースリーとは簡単にVRコンテンツを作成できるクラウドソフトです。
不動産業界でのDX化の進捗は約50%以下とあまり良くありません。
しかも、コロナ禍の影響から不動産業界はさらに大きなダメージを受けています。部屋を借りたくても、移動中の感染をおそれて内覧が難しいためです。
ですがそれを解決するのが、スペースリーのVRクラウドソフト。VRで内覧できるため、実際に物件まで移動する必要がありません。
忙しい人や遠方の人にも役立つサービスのため、アフターコロナでも広く利用されるのではないでしょうか。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000038545.html
⑬日本郵便:ドローンを用いた荷物の配送を実施
日本郵便でも人手不足が問題になっています。
なかでも地方の場合、郵便物を届けるのに目的地までの道が険しく、非常に大きい労力がかかっていました。
ですがドローンを導入することにより、通常20分はかかっていた配送が10分で完了したという結果が出ています。
まだ試験的に一部でしか実施されていませんが、地方や人手が少ない地域、配達までの距離や道が険しく大変な地域では、今後大いに活躍するでしょう。
参考:https://dronemedia.jp/japan-post-conducts-trial-delivery-using-drones-in-okutama-town/
⑭ゼブラ:3Dプリンタの導入で文具の試作品作りを短縮
ゼブラでは今まで、新商品を開発する際の試作品作りに大きなコストがかかっていました。
というのも試作品の用意を外部委託をしていたため、納期や費用などの問題がありました。
失敗してしまうとさらにコストがかかるため、委託前の確認作業などが何重にも行われたり非常に大きな手間がかかっていたのです。
ですが3Dプリンタを導入することで、委託する必要がなくなり自社で試行することが可能に。その結果、納期や費用の問題も解決することができました。
参考:https://www.3d-printer.jp/katsuyou/pen
⑮RIZAP:ゴルフスイングのデータ解析センサーを導入し、カウンセリングの質を向上
RIZAPでは「RIZAP GOLF」のサービスにおいてDXの導入に成功しています。
例えば
- クラブの軌道
- ショットスピード
- フェース角
- アタック角
など主にスイングのデータ分析が可能に。
スイングのデータを測定し分析することでより正確な指導ができ、また利用者に最適な課題を提示することができます。
これにより、利用者は短い期間で上達することが可能になりました。
参考:https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/20180206-01/
まとめ:成功事例からデジタルトランスフォーメーションのエッセンスを学ぼう
ここまで15もの成功事例を紹介させていただきました。成功事例からるポイントをまとめると次の通り。
- 既存サービスの不便な部分をIT技術により上手くカバーする
- あるようでなかったサービスを需要を活かし展開する
- デジタル化によってPDCAを早く回す
- デジタル化で自社のサービスの利便性向上に繋げる
- 他社のシステムも上手く取り入れ利用する
本記事で紹介した成功事例や上記のポイントが、デジタルトランスフォーメーションの展開に悩んでいる企業様にとって少しでも参考になれば幸いです。
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