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企業が健康になるとは?健康経営のメリットや導入手順、成功事例を総まとめ

コラム
記事掲載日:2020年11月29日
最終更新日:2021年09月20日

2019年4月に「働き方改革関連法案」が一部施行され、国レベルで「健康経営」が推進されるようになりました。

しかし「健康経営って何?」と思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、

  • 健康経営とは
  • なぜ健康経営に取り組む必要があるのか
  • 不健康経営は何がいけないのか
  • 健康経営の成功事例や導入ステップ

について、解説します。

企業が健康管理に取り組む必要性まで分かるかと思いますので、ぜひご一読ください。

目次

企業が健康管理を経営課題として取り組む「健康経営」とは

企業が健康管理を経営課題として取り組む「健康経営」とは

健康経営とは「社員の健康を経営課題と捉えて、戦略を立て実践すること」です。

以前では、企業の「経営管理」と「健康管理」は別物で、企業が従業員の健康を管理する事例は多くありませんでした。

健康経営はこれを統合して、従業員の健康管理を経営の課題とすることを言います。

近年、政府主導の「働き方改革」に、健康な従業員を増やすことが盛り込まれました。高齢化社会で労働人口が減り、労働力を確保することが急務なためです。

健康な従業員が増えると、なぜ労働力の確保や生産性向上につながるのか、解説します。

企業が健康になるとどうなる?健康経営のメリット5つ

企業が健康経営に取り組むと、次のようなメリットがあります。

<健康経営のメリット5つ>
  1. 生産性の向上
  2. 医療費負担の軽減
  3. モチベーションの向上
  4. 企業のイメージアップ
  5. 離職率の低下、人材確保

健康な従業員が増えると、まず体調不良での欠勤が減少します。そして従業員が毎日休まず出勤すれば、当然生産性が向上します。

仕事を休んで病院に通う従業員が減ることで、会社の医療費負担も軽減されます。また、身体が元気だと、仕事に対するモチベーションが下がることもありません。

健康経営に取り組んで健康である企業は、就職活動する学生や投資家にも魅力的に映ります。結果、企業の離職率は下がり、優秀な人材の確保ができるのです。

注意点として、会社は従業員の「身体的な健康」ばかり気にしてもだめだということです。

健康経営で生産性の向上や従業員のモチベーションアップにつなげるには、身体だけでなく心も健康でないといけません。

逆に企業が不健康な場合は?不健康経営のデメリット

では逆に、企業が不健康だと何がいけないのでしょうか。デメリットは以下の4つです。

<不健康な経営のデメリット4つ>
  1. 集中力低下
  2. 休みがちになる
  3. 離職率の増加
  4. 医療費の負担増

身体の調子が悪い従業員は集中力がもちません。会社も休みがちで、結果退職者を増やすことにもなります。

病院に通う従業員が多いと、会社からの医療費の負担も増えます。このように、負の連鎖が起きてしまうのが不健康な企業の特徴です。

長時間労働が多い企業は不健康になる?ストレス社会の弊害

2019年からの働き方改革には、労働力の確保とともに長時間労働の改善も盛り込まれました。日本は国際的に見ても長時間労働の問題は深刻です。

これは、高度経済成長の時代から、日本は長時間労働で生産性を上げようとしてきたためです。

総務省の調査を見ても、長時間労働者の割合は15年前とあまり変わってません。

長時間労働者割合の推移

出典:長時間労働の現状|内閣府

しかし現在、長時間労働は必ずしも生産性の向上につながらず、時代に合わなくなりました。うつなど心の病気も増加させました。

「ストレス社会」という言葉が浸透し、

  • 40代〜50代の自殺率が高さ
  • 長期休業する従業員の多さ
  • 肩こりや腰痛など慢性的な疾患を抱える従業員の多さ

など、逆に弊害につながることが増えました。

企業が健康になるには、長時間労働の解消も不可欠です。

健康経営を取り入れるべき企業の3つの特徴

健康経営に取り組まなければいけないのは、大企業だけではなく、従業員の少ない中小企業も同じです。

健康経営をすぐに取り入れるべきなのは、次のような企業です。

<健康経営を取り入れるべき企業の3つの特徴>
  1. ストレスチェックテストの結果が良くない
  2. 長期休業する従業員が多い
  3. 人材不足で労働時間が長い

ストレスチェックテストの結果が芳しくなかった企業は、従業員が心の病気を抱えている可能性があります。

心身が不健康な従業員は休みがちで長期休業する者も多くなります。

社外からの評判も上がらないので、人材不足で一人ひとりの負担が大きく、残業が増えます。

従業員の健康経営に取り組んだ企業3社の成功例

<従業員の健康経営に取り組んだ企業3社の成功例>
  1. 社会福祉法人大洲育成園
  2. ナガオ株式会社
  3. ネッツトヨタ山陽株式会社

それでは、健康経営の取り組みが成功している企業は、具体的にどのように導入しているのか、中小企業の3社を例に見てみます。

出典:経済産業省「健康経営優良法人取り組み事例集」

①地域へ情報発信する「社会福祉法人大州育成園」

社会福祉法人大州育成園

出典:社会福祉法人大洲育成園

大洲育成園は、障害者支援や障害福祉サービス事業などを行う法人で、従業員は56名います。

「従業員は宝」と考えて健康経営に取り組み、その活動を地域に発信することも地域貢献の一つと考えています。

大洲育成園の取り組みは、

  • 健康経営に対する取り組みなどを地域へ情報発信
  • 利用者と一緒に20分間の歩行運動
  • 受動喫煙対策

と、すぐにでも参考にしやすい活動が中心です。

地域へ情報発信し、健康経営を「見える化」することで、地域住民からの信頼や協力を得られるようになりました。

敷地内は全面禁煙としたところ、利用者も吸う人はいなくなり、敷地内に灰皿が必要なくなりました。

さらに、有給を取りやすくしたので育休が増え、有給消化率も30%から50%まで増やすことができたそうです。

②セルフチェックシステムが充実した「ナガオ株式会社」

ナガオ株式会社

出典:ナガオ株式会社

ナガオ株式会社は、化学工業薬品の製造販売を手掛ける、従業員61名の会社です。

「ワークライフバランスは長年の社風」と考えており、働き方改革が叫ばれる以前から健康経営に努めていました。

ナガオ株式会社は、

  • セルフチェックシステムによる食生活の改善
  • 社内の運動同好会への支援

を柱にしています。

セルフチェックシステムは、社員の血圧や体重をもとに分析した結果と個別アドバイスにより、将来の健康状態の予想ができるものです。

現在、社員の9割以上が2ヶ月に1回活用しています。

また、社内のマラソン同好会の支援や、2年に1度の家族ソフトボール大会など、子供と一緒に運動できるイベントを開催しています。

その結果、離職率はなんと10年間で0.5%という低水準で、就職や転職の志望動機にワークライフバランスが挙がることもあるそうです。

③働きやすい職場づくりを第一に掲げる「ネッツトヨタ山陽株式会社」

ネッツトヨタ山陽株式会社

出典:ネッツトヨタ山陽株式会社

ネッツトヨタ山陽は、従業員220名の新車・中古車販売企業です。

「給料が良い」「休みが取りやすい」だけではない、従業員の健康こそが第一との考えで健康経営に取り組んでいます。

ネッツトヨタ山陽では、

  • けんこうプログラム
  • 社員食堂での健康意識向上

を行っています。

けんこうプログラムは、社員が万歩計をつけて、その歩数を集計して部署ごとに公表する取り組みです。

また社員食堂においては、まず社員が笑顔でゆっくり食事できるよう改装しました。さらにカロリー別におかずを選べる、ヘルシー仕出し弁当の提供をしています。

その活動は地元の新聞にも取り上げられ、おかやま健康づくりアワードでも入賞を果たしました。

企業が健康経営を導入するための5ステップ

<企業が健康経営を導入するための5ステップ>
  1. 健康経営の理念を明文化し、社内外へ発信
  2. 担当者担当部署)の設置
  3. 課題の調査・言語化
  4. 改善施策の実施
  5. 施策の振り返り

では、自社でこれから健康経営を導入するためには具体的にどうすれば良いのでしょうか?

本項では、企業が健康経営を導入するため5つの手順を解説します。

ステップ①:健康経営の理念を明文化し、社内外へ発信

まずは、企業のトップが健康経営の重要さを理解し、明文化できるようにしましょう。そして、社内にも社外にも発信してみてください。

イメージアップのためにも社内外に発信することは大事ですが、トップが理解できていないと発信ができません。

ステップ②:担当者担当部署)の設置

つぎに、健康管理を行うため担当者や担当部署を設置し、組織を作りましょう。

担当者には研修や資格の取得を目指してもらうのも効果的です。知見が増えるだけでなく、担当であることを自覚するきっかけにもなります。

ステップ③:課題の調査・言語化

健康診断やストレスチェックテストを社員全員がきちんと受けているか、受診率を確認し、他にも課題がないか確認しましょう。

  • 残業や休日出勤が多くないか
  • ストレスチェックテストの悪い部署はないか
  • 有給消化率は低くないか

などが、主な課題点となるでしょう。

ステップ④:改善施策の実施

課題が見つかったら、改善策に取り組みましょう。例として、

  • ノー残業デーの設置
  • 社員食堂での健康的な食事の提供
  • 身体を動かす機会を作る

などがあります。

先述の事例も参考にしてみてください。

ステップ⑤:施策の振り返り

改善策を実施したら、

  • どのくらい実施されたのか
  • 結果はどうだったのか

などと、施策を振り返りましょう。おそらく次の課題が見えてきますので、改善に向けて再度動き出してみてください。

いきなり上手くいくとは限らないですし、結果も中々見えにくいものです。ステップ③~⑤は繰り返すことになるかもしれません。

企業の健康促進をサポートする「オフィスペイ」のご紹介

企業の健康促進をサポートする「オフィスペイ」のご紹介

社員食堂に健康食を取り入れたので、社員に利用してほしい。

そんなときに、社員食堂の利用率アップに貢献する「オフィスペイ」の導入をおすすめします。

オフィスペイとは

オフィスペイとは、社員食堂や自動販売機での支払いを、社員証などでキャッシュレス決済できるようになるシステムです。

社員は小銭を持ち歩く必要がなく、社員証1枚あれば「ピッ」と決済できます。

オフィスペイが企業の健康に貢献できること

オフィスペイで使用した代金は、社員の給与からの天引きだけでなく、企業側が負担することも可能です。

これを活用すれば、以下のような福利厚生が可能になります。

<オフィスペイが企業の健康に貢献できることの例>
  • 社員食堂でのヘルシー定食は毎月3回まで無料
  • オフィスコンビニで購入するサラダの補助

また常に携帯している社員証で決済ため、気軽に社員食堂を利用するようになるでしょう。

ぜひ社員の健康促進に、オフィスペイをご活用ください。

初期費用・月額費用は無料(※条件あり)のため、まずは気軽に資料をダウンロードしてみてはいかがでしょうか?

オフィスペイの公式サイトを見る

まとめ:社員の健康は企業の健康|健康経営を取り入れよう

社員の健康は企業の健康|健康経営を取り入れよう

仕事のためには健康なんてかまっていられない、という時代は過ぎ去りました。現在は、国レベルで「社員が健康になるための施策の実行」が推進されています。

その背景には、労働人口の減少で人材確保が不可欠となり「健康な社員で企業の生産性を上げ、離職率を下げよう」という目的もあります。

健康診断やストレスチェックテストを実施しても、どうしても健康への優先度が低い社員もいるかも知れません。

まずは「健康経営の重要さ」を発信し、理解してもらうことが重要です。

いきなり社員食堂を新しく作るのは無理でも、ヘルシー弁当を社内販売することならできるかもしれません。

社員が健康な企業はイメージアップにもなり、優秀な人材確保にも繋がります。まずはできることから少しずつ、健康経営を始めてみてはいかがでしょうか。

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