キャッシュレスのシェア率は?日本・世界の両方の視点から解説
最終更新日:2021年12月30日

日本ではキャッシュレス決済の導入が推進され、クレジットカードからQRコード決済まで、数多くの決済方法が誕生しています。
ただし日本のキャッシュレスは遅れていると言われることが多いため、
「キャッシュレス決済のシェア率を知りたい」
「日本と世界で差はあるの?」
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事は、各キャッシュレス決済のシェア率をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
- 日本におけるクレジットカード、QRコード決済、電子マネーのシェア率
- 日本のキャッシュレス事情
- 世界各国のキャッシュレス普及率
日本のキャッシュレス決済シェアNo.1はクレジットカード
日本のキャッシュレス決済シェア率は、圧倒的にクレジットカードが優位です。
以下のグラフは、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ2021」における、キャッシュレス全体額に占める割合と増減率を表したものです。
決済手段 | キャッシュレス全体額に占める割合 | 増減率 | ||
2018年 | 2019年 | 2018年 | 2019年 | |
クレジットカード | 90.5% | 89.7% | 14.2% | 10.1% |
デビットカード | 1.8% | 2.1% | 18.4% | 28.2% |
電子マネー | 7.4% | 7.0% | 5.4% | 5.0% |
QRコード決済 | 0.2% | 1.2% | - | 512.5% |
出典:キャッシュレス・ロードマップ2021 図表2 キャッシュレス決済手段別のキャッシュレス全体額に占める割合
「キャッシュレス全体額に占める割合」に注目すると、クレジットカードの使用割合が飛び抜けて高く、約9割を締めています。
ただ2019年におけるクレジットカードの数値はやや減少しており、代わりにデビットカードとQRコード決済が増加しました。
一方増減率に注目してみると、キャッシュレス市場が成長しているため、すべての決済手段が増加傾向にあります。
2019年のデータでは、クレジットカードと電子マネーの増減率は鈍化しているものの、デビットカードとQRコード決済は、2018年を超える増加率を見せました。
特にQRコード決済の成長は512.5%とめざましく、クレジットカード一強の時代に変化をもたらすかもしれません。
今後、どのような動きを見せるのか注目したいところです。
クレジットカードのシェアランキングTOP3
出典:PR TIMES 図:メインで使っているクレジットカード
まずは、クレジットカードのシェアランキングを紹介します。
「株式会社ショーケースの調査」によると、よく利用されているクレジットカードは下記のとおりです。
- 楽天カード
- VISA LINE Payクレジットカード
- dカード GOLD
それぞれの特徴を見てみましょう。
1位:楽天カード
楽天カードをメインで使っていると答えた人は、111人でした。
楽天カードの特徴は、下記の3つです。
- ポイントが貯まりやすい
- 楽天ペイや楽天Edyとの相性がいい
- 楽天ポイントの使い道が多い
楽天カードの特徴は、なんと言ってもポイントが貯まりやすいことです。
基本の還元率は1%ですが、楽天のグループサービスを活用すると最大15倍まで跳ね上がります。
楽天ペイや楽天Edyも併用できるなど、ポイントの使い道も多いため、多くの人に利用されているカードです。
2位:VISA LINE Payクレジットカード
VISA LINE Payクレジットカードをメインで使っていると答えた人は、79人でした。
VISA LINE Payクレジットカードの特徴は、下記の3つです。
- ポイント還元率が高い
- 年に1回使用すれば年会費はかからない
- さまざまなキャッシュレス決済に対応している
VISA LINE Payクレジットカードの特徴は、還元率が高いことです。
一般的に、クレジットカードの還元率は1%あれば高還元率と言われています。
しかしVISA LINE Payクレジットカードの基本還元率は2%に設定されており、普段使いでポイントを貯めやすいカードです。
また、VISA LINE Payクレジットカードはまだサービス提供開始から日が浅く、初年度の還元率が3%だったことも利用率の高さにつながったと考えられます。
3位:dカード GOLD
dカード GOLDをメインで使っていると答えた人は、69人でした。
dカード GOLDの特徴は、下記の3つです。
- ドコモケータイ&ドコモ光で還元率10%
- ドコモユーザーなら3年間の携帯保証(最大10万円)
- 国内・ハワイの主要空港ラウンジ利用無料
dカード GOLDの特徴は、ドコモユーザーの場合は高還元率であることです。
ドコモのケータイを使っていてドコモ光を契約していれば、10%の還元を受けられます。
また家族カードも対象なので、家族全員がドコモであればさらにお得です。
そのため、特にドコモユーザーを中心に利用者が増加していると考えられます。
QRコード決済のシェアランキングTOP3
出典:MMD研究所 図:最も利用しているQRコード決済サービス
次に、QRコード決済のシェアランキングを紹介します。
「MMD研究所の調査」によると、よく利用されているQRコード決済は下記のとおりです。
- PayPay
- d払い
- 楽天ペイ
それぞれの特徴を紹介します。
1位:PayPay
QRコード決済ランキングの1位はPayPayで、利用者数の割合は43.1%でした。
PayPayは、QRコード決済としては後発でありながら「20%還元の100億円キャンペーン」で、世間に広く認知されました。
また数々のキャンペーン等により、幅広い世代に利用されていることが特徴です。
筆者が働いている店舗でも、高齢者の人が利用するQRコード決済は、ほとんどがPayPayです。
2位:d払い
QRコード決済ランキングの2位はd払いで、利用者数の割合は18.2%でした。
d払いの特徴は、支払った金額に応じてdポイントと呼ばれるポイントがもらえることです。
しかも、支払い方法をdカード(dカード GOLD)に設定した場合は、もらえるポイントが2重になります。
よってクレジットカードであるdカード GOLDの使用率の高さに比例して、d払いも利用率が高くなっていると考えられます。
3位:楽天ペイ
QRコード決済ランキングの3位は楽天ペイで、利用者数の割合は15.4%でした。
楽天ペイの特徴は、d払いと同じく楽天カードからチャージすると、ポイント還元率が1.5%に上がることです。
また利用可能な実店舗が500万を超えるなど、利用店舗数が多い点もユーザーにとって嬉しいポイントです。
電子マネーのシェアランキングTOP3
出典:HoNote 図:各電子マネーの利用状況 上位5位
次に、電子マネーのシェアランキングを紹介します。
「HoNoteの調査」によると、よく利用されている電子マネーは下記のとおりです。
- Suica
- WAON
- nanaco
順番に見てみましょう。
1位:Suica
電子マネーのシェアランキング1位はSuicaで、利用者の割合は29.2%でした。
SuicaはJR東日本が開発した交通系ICカードのため、山手線などJRの利用者を中心として、ユーザー数が非常に多い電子マネーです。
自動販売機や駅ビルなどのショッピングにも利用できるため、Suicaひとつあれば移動も買い物もできます。
人気の理由は、利便性の高さや、使い勝手の良さと言えるでしょう。
2位:WAON
ランキング2位はWAONで、利用者の割合は29.0%でした。
WAONはスーパーマーケットで有名なイオングループが提供しているため、イオングループでの利用によりポイントが貯まりやすくなります。
日常で使っているスーパーがイオングループであれば、お得にポイントがゲットできるので利用率が高いと予想されます。
3位:nanaco
ランキング3位はnanacoで、利用者の割合は28.2%でした。
nanacoはセブン&アイグループが運営している電子マネーで、nanacoポイントが貯まることが特徴です。
コンビニのセブン‐イレブンやイトーヨーカドーといった店舗で使えるため、普段から足を運ぶ人が利用していると考えられます。
日本のキャッシュレス事情
次に、日本のキャッシュレス事情に注目してみます。
日本のキャッシュレス決済比率は少しずつ上昇しており、一般社団法人キャッシュレス協議会が発表した「キャッシュレス・ロードマップ2021」によれば、2019年には26.8%を達成しました。
日本のキャッシュレス決済比率の上昇は、キャッシュレス・ポイント還元事業や、マイナポイント還元事業の影響によると考えられます。
また日本ではQRコード決済の市場が急成長しており、今後の動向に注目が集まっています。
QRコード決済の普及理由には、下記のようなものが挙げられ、シェア率の上昇は続くと考えられます。
- 大々的なキャンペーンを実施した
- コロナウイルスの影響で非接触型の決済方法が注目を浴びた
なお、日本のキャッシュレス事情は、下記の記事でまとめています。
日本のキャッシュレス化が遅れている理由や、今後の課題について知りたいのであれば、ぜひお読みください。
>>なぜ日本のキャッシュレス化は遅れているのか?決済比率が低い理由とは
世界各国のキャッシュレス普及率ランキング
次に、日本と世界各国のキャッシュレス普及率を比較してみます。
下記は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ2021」に掲載されている、世界各国のキャッシュレス決済状況を表したグラフです。
出典:キャッシュレス・ロードマップ2021 図表7 世界主要国におけるキャッシュレス決済状況(2018年)
ただグラフを見ただけではわかりづらいため、ここでは上位5カ国と日本の決済状況に注目します。
下記の表は、上記のグラフからTOP5と日本の決済状況をまとめたものです。
国 | キャッシュレス決済比率 |
韓国 | 94.7% |
中国 | 77.3% |
カナダ | 62.0% |
オーストラリア | 59.0% |
シンガポール | 57.6% |
日本 | 24.2% |
日本のキャッシュレス決済比率は25%程度にとどまっており、上位の国と比較すると、導入が進んでいるとは言えません。
日本でキャッシュレス化が遅れている理由としては、
- キャッシュレスにネガティブイメージがあるため
- 利用できない店舗もあるため
- 初期費用や運用コストがかかるため
などが挙げられます。
キャッシュレス決済比率が特に多い国は韓国で、なんと90%を超えています。
では、なぜ他国ではこれほどキャッシュレス化が進んでいるのでしょうか。
次の見出しでは、韓国・中国・スウェーデンのキャッシュレス事情について解説します。
世界各国のキャッシュレス事情
ここでは、世界でもトップクラスのキャッシュレス決済比率を誇る「韓国」「中国」「スウェーデン」のキャッシュレス事情を紹介します。
韓国のキャッシュレス事情
韓国のキャッシュレス決済比率は、94.7%です。
韓国では「クレジットカードの利用での所得控除」や「宝くじの参加権利の付与」といった政策の実施により、キャッシュレスが急速に普及しました。
また中央銀行である韓国銀行も、硬貨の流通を減らすコインレス社会をすすめています。
国を挙げてのキャッシュレス推進運動により、韓国は世界トップのキャッシュレス大国となりました。
なお、韓国のキャッシュレス事情については、下記の記事でまとめています。さらに詳しい政策を知りたいのであれば、あわせてご一読ください。
>>韓国のキャッシュレス導入率はなぜ高い?理由や5つの政策を紹介
中国のキャッシュレス事情
中国のキャッシュレス決済比率は77.3%で、韓国につぐキャッシュレス大国です。
韓国・日本と違うのは、クレジットカードではなくQRコード決済が普及している点です。
AlipayとWeChat Payの2つのQRコード決済が主流なため、QRコード決済が乱立している日本と違い、消費者も選びやすい環境が保たれています。
なお中国のキャッシュレス事情については、下記の記事で紹介しています。中国でQRコード決済が普及した詳しい理由や、抱える課題を知りたい場合は、ぜひご覧ください。
スウェーデンのキャッシュレス事情
スウェーデンのキャッシュレス決済比率は48.9%で、ヨーロッパではトップを争うキャッシュレス先進国です。
スウェーデンでキャッシュレス決済が推進された理由は、
- 雪の多い環境や人口密度の低さから、現金の移送にコストがかかるため
- 強盗のような犯罪リスクを減らすため
の主に2つです。
結果としてスウェーデンは「現金が消えた国」とまで言われ、現在はスマートフォン決済の「Swish」がよく利用されています。
なお、スウェーデンのキャッシュレス事情について、推進された理由や使われているキャッシュレス決済を以下の記事でまとめました。興味があれば、あわせてご覧ください。
>>スウェーデンは脱現金が近いキャッシュレス先進国!背景や種類を紹介
まとめ:シェア率を参考にしてキャッシュレスを導入しよう
2021年現在、日本にてもっともシェア率の高いキャッシュレス決済は、クレジットカードです。
ただしキャッシュレスの推進によりQRコード決済が急成長しているため、今後はクレジットカードよりも、QRコード決済のシェア率が上回る可能性もあります。
感染症対策としても注目されているキャッシュレス決済は、今後も導入が続くと考えられます。
キャッシュレスの導入時には、シェア率の高いものを基準として選んでみてください。
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