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キャッシュレス決済4種類の手数料を比較!最も安いサービスは?

コラム
記事掲載日:2021年10月23日
最終更新日:2021年10月27日

キャッシュレス化が進み、さまざまな店舗でキャッシュレス決済が導入されるようになりました。

しかしキャッシュレスサービスはかなり多く存在し、手数料もサービスごとに異なるため

「キャッシュレス決済を導入したいとは考えているけれど、手数料がどれくらいかわからず不安」

「キャッシュレス決済サービスごとの手数料を比べたい」

このように考えてはいませんか。

そこで本記事では、代表的なキャッシュレス決済4つの手数料を比較しました。

<代表的なキャッシュレス決済4つ>
  1. クレジットカード
  2. 電子マネー
  3. QRコード決済
  4. 決済代行会社

キャッシュレス決済サービスの導入を考えているのであれば、ぜひ参考にしてください。

なお、決済代行会社はキャッシュレス決済サービスではありませんが、店舗で導入するうえでは重要な選択肢なので本記事では同列に扱います。

目次

【4つの種類別】キャッシュレス決済の手数料

【4つの種類別】キャッシュレス決済の手数料

キャッシュレス決済の手数料について、下記の表に大まかにまとめました。

種類 手数料
クレジットカード 約1〜10%
電子マネー 約1〜5%
QRコード決済 約3%
決済代行会社 約1〜4%

上記の表からもわかるように、キャッシュレス決済の手数料は種類によって異なり、一律ではありません

それぞれの手数料について詳しく解説しますので、順番に見ていきましょう。

1.クレジットカード

クレジットカードの手数料は、カード会社によって異なり、1〜10%ほどが多く見られます。

ただし、業種や事業規模によって手数料が変化する点には注意が必要です。

具体的に言えば、

  • コンビニで:1%程度
  • 飲食店:5%程度

などのように、全国的に展開しているような大手チェーン店は安く、個人経営店では高くなる傾向にあります。

その理由は、回収リスクが高くなる業種は、手数料を高く設定しているためです。

個人経営などの規模の小さい飲食店などは、未回収リスクが高いと判断され、手数料が3〜6%程度と高くなってしまうのです。

よって手数料の問題から導入をためらってしまいがちですが、普及率を考えると積極的に導入を検討した方が良いと言えるでしょう。

2.電子マネー

電子マネーの手数料はおよそ1〜5%ほどで、クレジットカードより安くなっています。

Suicaを始めとする交通系ICカードが主流ですが、交通系ICカードのほかにも下記のような種類が利用されています。

使ったことがなくても、一度は耳にしたことがあるサービスが多いのではないでしょうか。

<電子マネー>
  • 楽天Edy
  • iD
  • WAON
  • nanaco
  • QUICPay

非接触型の決済方法の先駆けとして登場しており、財布を出さなくてもスムーズに支払いを済ませられる点を中心に人気を集めています。

近年はカードがなくても支払いを済ませられるとして、Apple PayやGoogle Payなどに電子マネーを登録し、スマホだけで支払う人も増えています。

3.QRコード決済

QRコード決済の手数料は、約3%です。

QRコード決済は比較的新しい方法ですが、さまざまな種類が誕生し急速に普及しています。

手数料が無料だったことも普及の一因として考えられますが、2021年頃から各サービスで有料に変わりつつあります。

有料に切り替わるタイミングはサービスごとで異なるため、詳しくは各公式サイトを確認してください。

代表的なQRコード決済のサービスは、下記の通りです。

<QRコード決済>
  • PayPay
  • 楽天ペイ
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay

上記のサービスの他にもさまざまなQRコード決済がありますが、入金日などが異なるため、すべてを導入すると管理が大変です。

普及率や来店者のニーズを考慮して、導入する種類を厳選しましょう。

4.決済代行会社

決済代行会社の手数料は、おおむね1〜4%ほどです。

決済代行会社は、クレジットカード決済や電子マネーのような各サービスとの契約や運用を代行してくれるサービスです。

代表的なものとしては、以下のようなサービスが挙げられます。

<決済代行会社>
  • Airペイ
  • STORES 決済
  • Square

本来であれば店舗事業者は、導入するキャッシュレス決済サービスそれぞれと契約を結ばなくてはなりません。

しかし、決済代行会社と契約すればそれぞれのキャッシュレス決済サービスとの契約は不要で、管理運用も任せられます。

特に、管理まで手が回らない、人手が不足しがちな小規模店舗におすすめです。

クレジットカード4つの手数料比較

クレジットカード4つの手数料比較

ここからは、各キャッシュレス決済の手数料について、より詳しく紹介します。

クレジットカードを提供する事業者は数多くありますが、全国で利用できて知名度が高いものを4つ簡単に紹介します。

事業者名 手数料 特徴
三菱UFJニコス株式会社 3.25% 入会後3ヶ月はポイント3倍
三井住友カード株式会社 3.25% 決済手段が豊富
ユーシーカード株式会社 3.24% ポイントが永久に消えない
イオンクレジットサービス株式会社 3.25% WAONポイントが貯まる

(データ出典:キャッシュレス決済事業者の中小・小規模事業者向けプラン一覧)

店舗で働いた経験がある人なら、上記のカードを見たことがある人は多いと思います。

ユーシーカードのみ他のカードと比べて手数料が0.01%安いですが、基本的にはどれもほぼ変わりません。

上記以外の知名度が高めなクレジットカードも確認したところ、ほとんどが3.25%程度でした。

カード会社によって違いはあるものの、大きな違いはないと考えて良いでしょう。

クレジットカードの多くはポイントが付与され、アイテムやマイルと交換できます。

特に、消費者目線ではイオンカードのWAONポイントや楽天カードの楽天ポイントのように、普段の買い物に使えるポイントへ還元されるものが便利です。

クレジットカード決済を導入する際には、消費者の利便性を考慮すると喜ばれます。

電子マネー3つの手数料比較

電子マネー3つの手数料比較

電子マネーもさまざまな種類がありますが、ここでは有名なものを3つ紹介します。

事業者名 手数料 特徴
Suica 見積 電車で利用できる
WAON 見積 イオン系列で優遇される
nanaco 見積 コンビニ発の電子マネー

電子マネーの手数料は、ほとんどの場合、契約時の見積で決まります。

明確に「◯%」とは記載されていませんが、大体3%ほどが多いようです。

電子マネーには、iDや楽天Edyのように他にも数多くの種類が存在しますが、本記事ではより生活圏に近いものをピックアップしました。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

電子マネー①Suica

Suicaは電子マネーのパイオニアで、JR東日本がFeliCaを導入して、サービスを開発しました。

また現在では加盟店での買い物にも利用できるため、日常的に電車を利用する人を中心に普及しています。

カードをタッチするだけで決済できる点から、駅ビル内の店舗をはじめとした数多くの施設で導入されています。

ただ、導入時には端末費用や端末設置費用などが必要となるほか、その他ランニング費用が発生しますので、需要を調べてから導入することが重要です。

またSuica電子マネーを導入できる地域はJR東日本エリアに限られているため、エリア外の場合は別の交通系電子マネーの導入を検討してみてください。

電子マネー②WAON

WAONはイオンリテール株式会社が発行する電子マネーで、ショッピングセンターやスーパーマーケットのイオンで多く利用されています。

またイオンの系列店でも利用でき、割引やポイント還元率アップなどの特典が人気で普及しました。

全国展開する規模の大きさから利用者が増え、その利用者を呼び込むために加盟店が増え続けています。

主にスーパーマーケットや日用雑貨の購入で使用できるので、生活者にとって使いやすい電子マネーと言えます。

導入や資料請求はネットからでも申し込めるので、興味がある場合はこちらの加盟店案内ページを確認してみてください。

電子マネー③nanaco

nanacoは株式会社セブン・カードサービスが発行する電子マネーで、コンビニのセブンイレブンや、イトーヨーカドーで利用できます。

セブンイレブンは全国的に展開している最大手のコンビニなので、利用している人も多いのではないでしょうか。

電子マネーは基本的にチャージしてから利用するため、いざ使おうとして「残高が足りない」ことがあります。

しかし、nanacoは店舗数の多いセブンイレブンでチャージできるので、生活者にとって普段使いしやすいといったメリットがあります。

特にファミリーレストランや家電量販店など、生活に直結する店舗を中心に使用できるため、導入すればファミリー層の来店も期待できるでしょう。

QRコード決済3つの手数料比較

QRコード決済3つの手数料比較

QRコード決済は他の決済方法と比較すると新しい方法ですが、急速に普及したため、多くの人が利用しています。

特に有名なサービスでは、以下のようなものが挙げられます。

事業者名 手数料 特徴
PayPay 1.60%または1.98% TVCMでも有名
楽天ペイ 3.24%または3.74% 楽天ポイントがたまる
d払い 2.60% dポイントがたまる

ほとんどが手数料無料で利用できましたが、2021年頃から有料化しつつあります。

導入する際は、手数料を確認してから申し込むと良いでしょう。

QRコード決済①PayPay

PayPayはTVCMで認知を拡大し、「最大20%ポイント還元」のようなキャンペーンを大々的に行うことで、多くの利用者を獲得したサービスです。

手数料は、月額1,980円の「PayPayマイストア ライトプラン」の加入状況で変わります。

<PayPayのプランと手数料>
  • 有料のライトプランに加入している場合:1.60%
  • 未加入の場合:1.98%

PayPayを利用する人が多いのであれば、月額料金を支払ってもライトプランに加入した方がお得の可能性が高いです。

導入前に、一度来店者の利用状況や決済金額について計算してみることをおすすめします。

また筆者はとある店舗で働いているのですが、レジを担当していると、QRコード決済の中ではPayPayの利用者が特に多いなと感じています。

知名度も比較的高いため、どれか1つだけQRコード決済を導入するならば、PayPayの導入がおすすめです。

QRコード決済②楽天ペイ

楽天ペイは、楽天ペイメント株式会社が運営するQRコード決済です。

楽天ペイはクレジットカードと紐付けて利用できるのですが、手数料はお客さんが紐付けているカードが、楽天カードかそれ以外かで以下のように異なります。

<楽天ペイと手数料>
  • 楽天カード:3.24%
  • 楽天カード以外のJCBカード:3.74%

ちなみに紐付けとは、ペイサービスにクレジットカードを登録して、利用代金をクレジットカードから引き落とされるようにすることです。

お客さんが何のカードを使っているかは把握できないため、基本的には3.74%と考えておいた方が良いでしょう。

消費者のメリットは楽天ポイントがたまることで、ECサイトの楽天市場を利用している人にとっては使いやすいペイサービスと言えます。

QRコード決済③d払い

d払いは、株式会社NTTドコモが運営するQRコード決済です。

手数料は一律で2.60%で、プラン加入のような条件はありません。

クレジットカードよりも低いため、比較的導入しやすいサービスと言えるでしょう。

楽天ペイの楽天ポイントと同様に、d払いではdポイントがたまります。

dポイントもさまざまな加盟店で使用できるうえ、dマガジンやdTVのような「d○○」というサービスでも利用可能です。

またスマホのキャリアがドコモ以外でも利用できるので、ローソンやマツモトキヨシなどを良く利用する人を中心に、多くの人気を集めています。

決済代行会社3社の手数料比較

決済代行会社3社の手数料比較

決済代行会社は、さまざまなキャッシュレス決済サービスを一括で契約・管理してくれることが特徴です。

以下の表は、代表的な3つのサービスの手数料を比較したものです。

事業者名 手数料 特徴
Airペイ

Visa / Mastercard / American Express:3.24%

JCB / Diners Club / Discover / iD / QUICPay
UnionPay(銀聯):3.74%

交通系電子マネー:2.95%

COIN+:0.99%

Alipay+ / WeChat Pay / UnionPay(銀聯)QRコード / d払い / PayPay / au PAY / J-Coin Pay:2.95%

TVCMでも有名
STORES 決済

Visa / Mastercard / American Express:3.24%

JCB / Diners Club / Discover:3.74%

交通系電子マネー:1.98%

WeChat Pay:3.24%

最短で翌々日に入金される
Square

Visa / Mastercard / American Express / Discover / Diners Club / International / 交通系電子マネー:3.25%

JCB:3.95%

QUICPay / iD:3.75%

審査が早い

それぞれで取り扱える決済方法や手数料が違うので、店舗や客層に合うものの導入を検討しましょう。

以下、詳しく解説します。

決済代行会社①Airペイ

AirペイはTVCMも盛んに行っていて、気になっている事業者の人もいるのではないでしょうか。

対応しているキャッシュレス決済サービスが多いので、まんべんなく導入したい場合におすすめです。

中でも、QRコード決済が充実していることが特徴です。

ここで紹介する3サービスの中では唯一複数のペイサービスに対応しているため、個別で契約する必要がありません。

PayPayやd払いなどの需要の高いペイサービスが使えることも、便利なポイントです。

決済代行会社②STORES決済

STORES決済は、クレジットカードと交通系電子マネーが使用できる決済代行会社です。

中国発のWeChat Payに対応していますが、日本人が使うには条件が厳しいいため、QRコード決済は利用できないと考えたほうが良いでしょう。

ただし中国からの観光客が良く来店する場合など、インバウンドに対応したいのであれば、有効と言えます。

また最短で翌々日に入金されるので、入金スピードを気にする必要がないことも嬉しい特徴です。

決済代行会社③Square

Squareは、他のものと比べると取り扱えるキャッシュレス決済サービスが限られます。

ただその分手数料のバリエーションが少ないので、はじめてキャッシュレスを導入する際も混乱しにくい決済代行会社です。

JCBとQUICPay、iDは手数料が高めですが、そのほかは平均的な数値となっています。

審査が早く、最短即日から利用できるので、なるべく早く導入したい事業者におすすめです。

キャッシュレス決済導入時の3つの注意点

キャッシュレス決済導入時の3つの注意点

キャッシュレス決済は現金払いとは大きく異る点が多いため、はじめて導入する際は不安な点も多いと思います。

最後に導入前に知っておきたい3つの注意点を紹介しますので、順番に見ていきましょう。

<キャッシュレス決済導入時の注意点>
  1. 自社に合った導入方法を選ぶ
  2. 手数料だけで決めず利用率の高さも考慮する
  3. 手数料は消費者に請求できない

注意点①自社に合った導入方法を選ぶ

キャッシュレス決済の導入方法には、下記の2つがあります。

<キャッシュレス決済の導入方法>
  1. キャッシュレス決済の事業者と直接契約する
  2. キャッシュレス決済代行業者と契約する

どちらでも問題なく導入できますが、それぞれにメリット・デメリットが存在するため、自社に合った方法を選びましょう。

複数の事業者と登録すると管理に手間がかかるため、事業規模が大きければ直接契約・小さければ決済代行業者の利用がおすすめです。

小さいお店で直接契約をすると、入金日がバラバラになったり、レジ周りが販促物でごちゃごちゃしてしまったりと、デメリットの方が大きくなってしまうことが多いです。

キャッシュレス決済の導入方法については、以下の記事でより詳しく紹介しています。

導入に関する疑問を解決したいのであれば、ぜひご覧ください。

>>キャッシュレス決済の導入方法は?費用やメリット・デメリットを解説

注意点②手数料だけで決めず利用率の高さも考慮する

キャッシュレス決済を導入する際は、手数料だけでなく、利用率の高さも考慮する必要があります。

いかに手数料が安くても、需要がないサービスを選んでしまうと、せっかく導入しても使ってもらうことができません。

たとえば、MMD研究所が2021年に実施した「QRコードの利用動向調査」では、QRコード決済の利用率はPayPayがもっとも高い結果となりました。

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出典:MMD研究所

このように調査データなども参考にしながら、直接消費者の意見を聞いてみるなど、来店者のニーズに合ったものを導入することが重要です。

注意点③手数料は消費者に請求できない

事業者の中には、「決済手数料をキャッシュレス決済を使った消費者に請求できないのかな」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、手数料を消費者に請求することは、カード会社やペイサービスの利用規約により禁止されています。

高いと感じますが、手数料を消費者に請求することはできません。

そのためキャッシュレス決済を導入する際には需要が高く、なるべく手数料が少額のサービスを選ぶようにしましょう。

まとめ:キャッシュレス決済の手数料を把握して上手に導入しよう

まとめ:キャッシュレス決済の手数料を把握して上手に導入しよう

キャッシュレス決済の手数料はさまざまで、たとえ同じクレジットカードでも、一律ではありません

事業規模や業種によって変わることもあるので、詳しくは各社に問い合わせることが重要です。

キャッシュレス決済は数多く存在しますが、すべてを導入していては多くの管理の手間やコストが発生してしまいます。

  • 手数料
  • 消費者からのニーズ
  • 利用者数

などの情報から、店舗に合ったサービスの導入を検討してみてください。

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