新しい働き方「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」とは?
最終更新日:2021年09月20日

近年では多様な価値観が認められてきているのに伴い、働き方も様々になってきています。
多様な働き方を実現するための手段の一つが、ABW。
ABWを導入することで、オフィス内に限らず、自宅やカフェなど、場所に縛られない働き方が実現できるようになります。
そこでこの記事では、ABWの概念やメリット・デメリットを解説します。
それらを踏まえて、あなたの企業にABWの導入が必要かどうか、判断してみましょう。
ABWの導入には、設置・月額費用が無料(※条件あり)の「オフィスペイ」の導入がおすすめです。
自販機や売店で、社員証やクレジットカードでの決済が可能になります。
備品の無人貸出システムとしても活用できるため、在宅ワークなどの導入にも役立ちます。
※必要なのは、オフィスペイ端末を取り付けることのみ。
ABWとは
「ABW」と言われても、馴染みのない言葉かもしれません。ABWとは働く場所や時間に縛られないワークスタイルです。
一般的に会社での仕事はオフィスで行うものですが、ABWではオフィスに限らず、自宅やカフェなどオフィスの外でも仕事ができるようになります。
そのため育児や介護を抱える人でも、オフィス勤務の人と同じように働くことができるのです。
これだけだと「フリーアドレス」に似ているように思われますが、両者との違いを次に解説します。
ABWとフリーアドレスの違い
「様々な場所で働ける」と言うと、「フリーアドレスと何が違うんだろう??」という疑問がわいてくるのではないでしょうか。
ABWとフリーアドレスの違いは、以下の通りです。
意味 | 働く場所 | |
フリーアドレス | 固定席を持たず自由に席を選べる働き方 | オフィスのみ |
ABW | 席だけでなく時間も場所も自由に選べる働き方 | オフィス、自宅、カフェ、コワーキングスペースなど |
フリーアドレスはオフィス内に限られたワークスタイル
フリーアドレスはオフィス内という限られた空間で、自由に仕事ができるワークスタイルです。
フリーアドレスの特徴はオフィス内に自席が無いことであり、それによって社内コミュニケーションが活性化し、生産性の向上が見込めます。
しかし後述するABWと異なり、オフィス外で仕事をしたり、好きな時間に働くといったことはできません。
そのためABWに比べると、自由度は低いワークスタイルです。
ABWは場所も時間も縛られない
一方でABWは、オフィス内外問わず、そして勤務時間にも縛られない働き方ができます。
そのためプライベートとの両立ができるなど、各従業員のライフスタイルに合わせて仕事を進められるようになります。
場所も時間も縛られないため、フリーアドレスよりもABWの方が、自由度の高いワークスタイルなのです。
ABWの歴史|オランダの企業「Veldhoen + Company」がパイオニア
「最近聞くようになったABW、いつからその働き方が始まったの?」このように疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。
ABWを一番最初に始めたのは、オランダの企業「Veldhoen + Company」と言われています。
ABWが一番最初に提唱されたのは1985年、ハーバード・ビジネス・レビューの論文で触れられたのが始まりでした。
その5年後となる1990年からVeldhoen + Company社が世界中の企業でABW導入を支援してきています。
ABWが近代的な働き方というイメージを持たれる方が多いかと思いますが、実は30年も前から提唱されている働き方なのです。
参考:https://www.workersresort.com/jp/culture/abw-veldhoen/
続いてはABWのメリットについて解説します。
ABWの4つのメリット
「ABWを導入することで何が起こるんだろう?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
ABWを導入することで企業が得られるメリットは以下の4つです。
- コストの削減
- 従業員の定着率アップ
- 採用希望者の増加
- 従業員が仕事とプライベートを両立しやすくなる
一つずつ解説します。
①コストの削減
まずABWを導入することで、オフィス面積を縮小できるため、コストの削減になります。その結果、事業所にかかる費用を大きく削減することが可能です。
また後述する「従業員の定着率アップ」につながるところですが、採用にかかるコストも抑えられます。
ABWを導入することで、オフィス賃料や採用コストなど、大きな項目の費用を節約できるのです。
②従業員の定着率アップ
ABW導入によって、従業員一人一人が望む働き方を実現しやすくなるため、定着率のアップが期待できます。
従業員が退職する理由には様々ありますが、「育児のため」「介護のため」「旦那の転勤のため」といった、家庭の事情で辞めていく事例は少なくありません。
しかしABWであれば、家庭の事情を考慮したうえで働けるようになります。
それだけでなく採用者募集をかける機会が少なくなるため、採用にかかるコストも抑えられます。
ABW導入が実現できれば、退職率を下げることができ、従業員が会社に定着しやすくなるのです。
③採用希望者の増加
従業員の定着と両立して、採用希望者の増加にもつながります。大半の採用希望者は、その会社で長く働けることを望んでいます。
ABWを導入している企業であれば、将来ライフスタイルが変わったとしても、それに適応できる働き方になりえるでしょう。
そのため「この会社なら数十年先も働けそうだ」という考えになり、採用希望者が増える見込みがあるのです。
ABW導入によってライフスタイルが変わっても働きやすいと考える人が出てくることから、採用希望者が増加する可能性があります。
④従業員が仕事とプライベートを両立しやすくなる
従業員が仕事とプライベートを両立しやすくなるのも、ABWのメリットです。
例えばプライベートの用事を優先したい場合は自宅やカフェで働くなど、働き方を柔軟に変えられます。
一方でABWにはデメリットもあります。
ABWの4つのデメリット
ABW導入によって受けられるメリットは非常に大きいのですが、実際には全ての企業で生産性が上がる働き方ではないのです。
ABWによって生じるデメリットは以下の4つ。
- 従業員同士のコミュニケーションの機会が減る
- 従業員によっては生産性が低下する
- 勤務管理や人事評価が難しくなる
- セキュリティの面でリスクが高まる
それぞれ一つずつ解説します。
①従業員同士のコミュニケーションの機会が減る
まずABW導入によって流動性が高くなるため、従業員同士のコミュニケーションの機会が減ってしまいます。
従来の働き方であれば、従業員同士が必ず顔を合わせるため、必然的にコミュニケーションが生まれます。
しかしオフィス外で働く従業員も出てくると、オンラインミーティング以外で顔を合わせる機会は中々ありません。
結果、コミュニケーションミスや気軽な相談がしにくいといったマイナス面も生まれてしまいます。
②従業員によっては生産性が低下する
従業員によっては、生産性が低下してしまう恐れもあります。
ABWは従業員が自由に働ける一方で、一人一人が自分で仕事を管理しないといけない面もあります。
そのため自己管理が苦手な従業員だと、仕事が進まず、生産性が低下してしまうこともあるでしょう。
「うちの社員は優秀だから大丈夫」と思われるかもしれませんが、ABW導入前に成果が高かった従業員が、自己管理能力が高いとは限りません。
そのためABW導入後にどう部下をマネジメントするか、事前に確立する必要が出てくるのです。
③勤務管理や人事評価が難しくなる
勤務管理や人事評価が難しくなることも、ABWのデメリットの一つです。
時間にも縛られない働き方であるため、通常の定時よりも早い時間帯に仕事をしていたり、終業後も働き続けたりする従業員も出てくるでしょう。
そのため社員がどのくらい働いているのか可視化しにくいため、今までのような勤務管理が難しくなります。
人事評価も同様で、従業員の仕事ぶりが見えにくくなるため、評価のための査定を変える必要も出てくるでしょう。
これまで以上に「成果主義」が強まりますが、何をもって成果とするのか、明確にしておかないと、従業員を評価しづらくなってしまいます。
ABW導入前に、勤務管理や人事評価の方法も検討しておきましょう。
④セキュリティの面でリスクが高まる
セキュリティのリスクが高まることも、ABW導入にあたって懸念すべき内容です。オフィス外で働けるようになることで、社内情報を外へ持ち出すケースが増えてきます。
それに伴い、情報漏洩のリスクも生じてしまいます。
セキュリティ対策として、個人情報や重要機密情報を取り扱った業務はオフィス内でのみ行うなど、ルールを決めるようにしましょう。
ABW導入までのプロセス7ステップ
- ABWを導入する目的の明確化
- オフィスの使用状況を調査
- オフィスのレイアウトを検討
- 必要な設備やツール・制度を導入
- 従業員へ周知・説明
- トライアル的にABWを実施
- 振り返り・改善
ABW導入までのプロセスは、上記の7ステップ。ABWでは計画の段階で成功か否かが分かれます。
ここを怠ってしまうと、従業員が混乱してしまい、かえって生産性が低下してしまう、といったことがあり得ます。
そうならないように、一つ一つプロセスを踏んだうえで、計画・準備を進めていきましょう。
ABWは日本で定着するのか?
「新しい働き方」として注目されているABWですが、将来的に日本で定着するのか、気になるところではないでしょうか。
まだ導入している企業は多くありませんが、長い目で見ればABWが日本企業に定着する可能性は十分にあります。
近年では政府が「働き方改革」を掲げており、就業機会の拡大および従業員の意欲・能力を発揮できる環境づくりが課題となっています。
ABW導入は、働き方改革を達成する手段として適しており、導入を検討する企業も今後出てくるでしょう。
既にABWを導入している企業もあるため、そういった事例も追い風になりえます。
ABWの導入が実現した際に、それをサポートする社内決済システムを紹介します。
ABWの働き方をサポートする「オフィスペイ」
「新しい働き方に合わせて、社内の自販機で現金以外の決済も対応してほしい」
「総務もリモートワークできるよう対応してほしい」
ABW導入後、従業員からこのような要望が出てくるかもしれません。
社内決済システム「オフィスペイ」であれば、このような声を全て叶えられます。
オフィスペイとは、自販機等に設置することで、社員証やクレジットカードでの決済を可能にするシステムです。
また、自販機やロッカーに設置することで、無人備品貸し出しシステムとして利用できるため、総務のリモートワークの実現もサポートします。
ABWの導入を検討しているのであれば、従業員にとって嬉しい福利厚生になるでしょう。
初期費用・月額費用は基本無料(※条件あり)で導入できるため、興味があれば公式サイトを覗いてみてください。
まとめ:ABWを導入して働き方を多様化しよう
オフィス内外問わず、場所と時間を自由に選べる働き方であるABW。ABWを導入すれば、多様な働き方を実現できます。
ABWを導入する場合は、入念な計画と準備が欠かせません。しかし実現までたどり着ければ、コスト削減や従業員の定着率アップに繋がる可能性があります。
働き方改革やコロナ禍に合わせた働き方として、ABWの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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